体幹を鍛えるトレーニングの中でも、腹斜筋や腹横筋といった「くびれ」に関与する筋群を集中的に刺激できるのがサイドプランククランチです。サイドプランクの静的保持にクランチ動作を組み合わせることで、安定性と動的収縮を同時に強化でき、高い引き締め効果が期待できます。
この記事では、サイドプランククランチで鍛えられる筋肉や正しいフォーム、効果を高めるコツ、注意点について詳しく解説します。
サイドプランククランチで鍛えられる部位
サイドプランククランチは、通常のクランチやサイドプランクに比べて、より多くの筋群を同時に刺激できる高効率な体幹トレーニングです。特にお腹周りの引き締めや姿勢の安定性向上に寄与する腹斜筋や腹横筋、腹直筋といった体幹前面の筋肉だけでなく、骨盤を支える中殿筋や大殿筋、姿勢保持に関わる脊柱起立筋など、背面・側面の筋群も連動して鍛えることができます。
ここでは、各筋肉の働きと鍛えるメリットについて詳しく解説します。
腹斜筋

サイドプランククランチでは、腹斜筋が最も集中的に鍛えられます。腹斜筋は体の側面に位置する筋肉で、ウエストラインの形成や体幹の回旋動作に関与します。この筋肉を鍛えることで、脇腹の引き締めやくびれの強調が期待できるほか、スポーツや日常生活においても体幹の安定性が向上します。
具体的には、上側の肘と膝を近づけるクランチ動作によって、腹斜筋が強く収縮し、筋力と筋持久力の両方が高まります。さらに、片側のみで身体を支える不安定な状態により、腹斜筋の深層まで刺激されやすくなるのも特徴です。
腹斜筋を鍛えることで見た目の美しさだけでなく、スポーツパフォーマンスの向上や腰痛予防にもつながります。
腹横筋

腹横筋は腹部の最深層に位置し、コルセットのように体幹全体を包み込む筋肉です。サイドプランククランチでは、姿勢を静止させることによって、このインナーマッスルが活発に働きます。腹横筋は直接的な動きにはあまり関与しないものの、内臓の位置を安定させ、姿勢を保ち、腹圧を高める重要な役割を担っています。
特に、サイドプランクのような不安定なポジションでキープする動作では、腹横筋が全身のバランス調整に大きく貢献し、深層の筋肉が常に緊張状態を保つ必要があります。これにより、腹圧が安定し、腰への負担も軽減されます。
腹横筋をしっかり鍛えることで、ぽっこりお腹の予防や改善にもつながり、外見の引き締め効果だけでなく、体幹の安定性や姿勢改善にも効果が期待できます。
腹直筋

腹直筋は、いわゆる「シックスパック」を形成するお腹の中央部の筋肉で、体幹の屈曲(前に曲げる)動作に関与します。サイドプランククランチでは、クランチ動作を加えることで腹直筋にも強い刺激が入ります。
この種目の最大の特徴は、側屈と屈曲の動作を組み合わせて行う点です。これにより、腹直筋は単純な前屈だけでなく、斜め方向からの刺激を受けるため、多角的に鍛えることができます。また、腹直筋が鍛えられることで、お腹の引き締めはもちろん、姿勢改善や運動パフォーマンス向上にも寄与します。
特に、体幹を安定させながら動くことで、腹直筋の筋持久力が養われ、持続的な姿勢保持にも効果的です。見た目の美しさと機能性の両立を図るうえで、腹直筋の強化は欠かせません。サイドプランククランチは、腹斜筋とともに腹直筋を同時に刺激できる効率的なトレーニングといえます。
中殿筋・大殿筋

サイドプランククランチでは、片側の脚で体を支えるため、股関節周辺の筋肉である中殿筋や大殿筋も強く使われます。これらの筋群は骨盤の安定に深く関わっており、体幹トレーニングにおいても重要な役割を果たします。
特に中殿筋は、横方向のバランスを保つ役割を持ち、片脚支持の姿勢で強く働きます。一方、大殿筋は臀部全体を覆う大きな筋肉で、身体の支持力やヒップアップに貢献します。
この2つの筋肉を鍛えることで、骨盤の左右ブレを防ぎ、体幹の軸を安定させることが可能になります。さらに、日常生活における歩行や立ち姿勢の安定性も向上し、腰や膝への負担を軽減する効果もあります。サイドプランククランチは体幹トレーニングでありながら、ヒップラインの引き締めや美尻効果も同時に期待できます。
脊柱起立筋

脊柱起立筋は、背骨沿いに走る長い筋肉群で、姿勢の保持や体幹の伸展動作を担う重要な筋肉です。サイドプランククランチでは、背中を反らさずに一直線を保つ姿勢をキープすることで、脊柱起立筋にも持続的な負荷がかかります。
脊柱起立筋が弱いと、体幹のバランスが崩れやすくなり、猫背や腰痛のリスクが高まります。一方で、脊柱起立筋を鍛えることで、背中から骨盤にかけての安定性が増し、全身の姿勢も整いやすくなります。また、サイドプランククランチでは体幹の側面と同時に背面にもアプローチができるため、腹筋だけでなく背筋とのバランスの良い強化が可能です。
美しい姿勢と健康的な体幹を手に入れるには、前面だけでなく背面の筋肉もしっかり鍛える必要があります。その意味でも、脊柱起立筋への刺激が得られるサイドプランククランチは非常に理にかなったトレーニングです。
サイドプランククランチの効果的なやり方
サイドプランククランチを正しく行うことで、腹斜筋や腹横筋を効率よく鍛え、お腹周りを引き締める効果が期待できます。特にくびれを作りたい方や、体幹の安定性を高めたい方にとって、フォームの正確さは非常に重要です。
肘を肩の真下に置き、足は揃えて横向きに寝転び、身体を一直線に保ちながら腰を床から持ち上げます。
上側の手は頭の後ろに添えるか頭上に伸ばし、そこから上側の膝と肘を腹部の中心で近づけるようにクランチ動作を行います。
ゆっくりと元の姿勢に戻し、左右10回を目安に動作を繰り返します。
腰が反ったり骨盤が傾いたりしないように注意し、体幹を常に固定する意識を持ちましょう。また、勢いをつけずに動作をコントロールすることで、腹筋への刺激をより高めることができます。呼吸は止めず、クランチで息を吐き、戻るときに吸うのが重要です。

サイドプランククランチのコツ

サイドプランククランチを効果的に行うためには、正しいフォームに加えて、動作中の細かなポイントを意識することが重要です。腹斜筋を中心に体幹全体を強化できる優れた種目ですが、姿勢が崩れたり、反動で行ってしまったりすると十分な効果が得られないばかりか、腰や肩への負担が増してしまう可能性もあります。
ここでは、トレーニング効率を高め、ケガを防ぐための具体的なコツを5つに分けて解説します。どれも小さな意識の差で大きな違いが生まれるポイントなので、ぜひ実践に取り入れてみてください。
頭から足まで一直線をキープする
サイドプランククランチでは、体全体を一直線に保つことが基本です。姿勢が崩れると、腹筋への刺激が弱まるだけでなく、首や腰に負担がかかる恐れがあります。正しいフォームを維持することで、腹斜筋や腹横筋などの体幹筋がしっかりと働き、効率よく鍛えることができます。
特に、腰が落ちたり、上半身が前後に傾いたりしないように注意することが大切です。そのためには、頭からかかとまで一直線になるように鏡で確認しながら行うのがおすすめです。
また、耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線になるイメージで体を支えると、姿勢が安定しやすくなります。この意識を持つことで、体幹への負荷が最大化され、サイドプランククランチ本来の効果をしっかりと引き出すことができます。
肘と膝をしっかりと引き寄せる
クランチ動作では、上側の肘と膝をしっかりと引き寄せることが重要です。この動作により、腹斜筋や腹直筋に対する刺激が最大化され、引き締め効果がより高まります。
十分に肘と膝を近づけることで、腹筋が強く収縮し、可動域をフルに活かしたトレーニングが可能になります。逆に、動作が小さいと筋肉の動員が不十分になり、運動効果が半減してしまいます。
意識すべきポイントは、肘と膝をできるだけ「おへその真下あたり」で引き寄せることです。反動をつけず、腹筋の力で動かすようにしましょう。姿勢が崩れやすいので、最初はゆっくり行うことが効果的です。肘と膝の距離を縮めるほど、腹筋の収縮が強まり、ウエストの引き締め効果が向上します。見た目の変化を早く得たい方は、特にこのポイントを丁寧に実践しましょう。
骨盤の傾きを防いで腰を反らせない
サイドプランククランチでは、骨盤の角度が変わらないようにすることがフォーム安定の鍵です。骨盤が前後に傾いたり、腰が反ってしまったりすると、腹筋への負荷が逃げてしまい、効果が減少してしまいます。
骨盤を安定させることで、腹横筋や中殿筋といった体幹周囲の筋肉がバランスよく働き、正しい負荷がかかる状態を保てます。また、腰を反らないことで腰椎へのストレスも軽減され、腰痛予防にもつながります。
具体的には、へその下を軽く引き込むようにして腹圧をかけることで、骨盤をニュートラルに保ちやすくなります。また、脚の付け根から動作するイメージで行うと、骨盤の不要な動きを抑えられます。
骨盤が安定していると、サイドプランククランチの難易度は一段階上がりますが、そのぶん効果も確実に向上します。フォームを優先し、腰を守りながら確実に筋肉へアプローチしましょう。
反動を使わないでゆっくりと動作を行う
サイドプランククランチでは、動作のスピードをコントロールすることが非常に重要です。反動を使って勢いで動いてしまうと、筋肉の収縮が不十分になり、トレーニング効果が低下してしまいます。
動作をゆっくりと行うことで、筋肉が緊張状態を長く維持でき、より強い刺激を与えることができます。これにより、腹斜筋や腹直筋の筋力アップはもちろん、筋持久力の向上にもつながります。
例えば、「2秒で肘と膝を引き寄せ、2秒で戻す」など、テンポを決めて行うのがおすすめです。リズムよくゆっくり行うことで、身体の使い方や力の入れ方を自然と習得できます。スピードよりも質を重視したトレーニングを意識し、筋肉に効いている感覚を大切にしましょう。
呼吸を意識して体幹の力を維持する
呼吸を意識することで、サイドプランククランチの効果をさらに高めることができます。息を止めたまま行うと体幹が緊張しすぎたり、動作が不安定になったりしてしまうため、適切な呼吸が非常に重要です。
正しい呼吸を行うことで腹圧が安定し、腹横筋や骨盤底筋などのインナーマッスルが効率よく働きます。特に息を吐きながらクランチ動作を行うことで、腹筋群の収縮が強まり、効果的なトレーニングが可能になります。
ポイントは、「肘と膝を引き寄せるときに息を吐き、戻るときに息を吸う」ことです。動作と呼吸を連動させることで無理なく継続でき、体幹の力を維持しやすくなります。
呼吸を味方につけることで、単なる動作から質の高いトレーニングへと変化します。筋肉の働きを最大化するためにも、正しい呼吸法を意識して取り組みましょう。
サイドプランククランチに関するQ&A
- サイドプランククランチで腰が痛くなるのはフォームの問題ですか?
-
腰痛の原因は多くがフォームの崩れです。骨盤が前後に傾いていたり、腰が反っていると負担がかかります。フォームを見直しましょう。
- サイドプランククランチはどこに効きますか?
-
主に腹斜筋を中心に、腹横筋、腹直筋、中殿筋、脊柱起立筋など、体幹全体に効果があります。特にウエストの引き締めに最適です。
- サイドプランククランチはダイエットに効果的ですか?
-
体幹を中心に複数の筋肉を使うため、基礎代謝の向上に役立ちます。ただし脂肪燃焼には有酸素運動や食事管理との併用が効果的です。
- サイドプランククランチで肩に痛みが出るのはなぜですか?
-
肘の位置が肩の真下にない、体をねじりすぎる、肩甲骨が不安定などが原因です。正しい姿勢とフォームを見直しましょう。
- サイドプランククランチは他のトレーニングと組み合わせると効果的ですか?
-
ヒップリフトやプランク、レッグレイズなどと組み合わせると、体幹全体をバランスよく鍛えることができます。
サイドプランククランチでお腹を引き締めよう

サイドプランククランチは、腹斜筋や腹横筋を中心に体幹全体を鍛えられる優れたトレーニングです。くびれ作りや姿勢改善、スポーツパフォーマンスの向上にも効果的で、自宅で手軽に実践できるのも魅力です。
正しいフォームと動作のコツを押さえれば、短時間でも高い効果が期待できます。腰痛や肩への負担を防ぐためにも、丁寧な動作を心がけ、継続的に取り入れて理想のボディラインを目指しましょう。