スクワットといえば太ももやお尻を鍛える種目として知られていますが、腹筋やお腹まわりにも効果が期待できます。体幹を安定させながら正しいフォームで行うスクワットは、腹直筋や腹斜筋、腹横筋などのインナーマッスルにも自然と刺激を与えられます。さらに代謝を高めることで脂肪燃焼効果も期待できるため、お腹痩せを目指す方にもおすすめです。
この記事では、スクワットが腹筋に効く仕組みから、より効果的にお腹を引き締めるやり方や注意点まで、わかりやすく解説します。
スクワットが腹筋に効く理由

スクワットは下半身以外に、腹筋にも効果的なトレーニングです。スクワットで腹筋が鍛えられる理由は、正しいフォームを維持する過程で自然と体幹や腹筋群が働くからです。特にスクワット中は、姿勢の安定を保つために腹直筋や腹横筋といったコアマッスルが動員され、見た目以上に腹部に負荷がかかっています。
また、腹圧を適切にコントロールすることで腰を守りながら腹筋の強化にもつながります。ここでは、スクワットがなぜ腹筋に効くのかを、姿勢と腹圧という2つの視点から詳しく解説します。
姿勢の維持
スクワットを正しいフォームで行うには、上半身をまっすぐに保ち、背骨から骨盤にかけてのラインを安定させる必要があります。この姿勢の維持こそが、腹筋に大きな関与をもたらす要素の一つです。
例えば、スクワット中に背中が丸くなったり、体が前のめりになってしまうと、腰に余計な負担がかかりケガの原因になります。そうならないようにするには、腹直筋や腹斜筋、腹横筋といった腹筋群をしっかり働かせて、体幹部を安定させなければなりません。
特に腹横筋は天然のコルセットとも呼ばれ、腹部全体を包み込むように位置しています。この筋肉が働くことで体幹が固定され、姿勢の維持が可能になります。つまり、スクワット中は見た目には動いていなくても、腹筋は常に緊張状態にあり、静的なトレーニングが行われているのと同じ状態なのです。
このように、スクワット中の正しい姿勢を保つためには、自然と腹筋が動員されるため、体幹強化や引き締めに効果的なトレーニングとしても活用できます。
腹圧のコントロール
スクワット中に腹筋が鍛えられるもう一つの大きな理由が、腹圧のコントロールにあります。腹圧とは、お腹の内部にかかる圧力のことで、重いものを持ち上げたり、姿勢を安定させるときに自然と生じるものです。
スクワットでは、この腹圧を高めることで腰椎(背骨の腰の部分)や骨盤をしっかり支え、ケガを予防しながら大きな力を発揮できるようになります。腹圧をかける際には、横隔膜、骨盤底筋、腹横筋、多裂筋など、主にインナーマッスルが連動して働きます。これにより、体幹が固まり、フォームが安定し、効率よく力を伝えることが可能になります。
この状態を維持するには、常に腹筋を締める意識が必要で、特に腹横筋を中心とした腹筋群が強く活動します。そのため、スクワット中は動きの中で腹筋を使い続けることになり、結果的に腹部全体の筋肉が鍛えられるというわけです。
また、息を止めすぎると血圧の上昇や立ちくらみの原因にもなるため、腹圧をかけつつ呼吸を安定させる練習も重要です。初心者はまずお腹をへこませたまま息を吐くなど、基本的なブレイシングテクニックから始めてみましょう。
このように、腹圧を意識してスクワットを行うことで、体幹の安定と同時に腹筋への刺激を最大化できます。
腹筋にも効かせるスクワットのやり方

スクワットを通じて腹筋を鍛えたい場合、単に回数をこなすだけでは不十分です。腹筋にしっかり刺激を届けるには、フォームや意識の置き方が非常に重要です。特に、体幹の筋肉に正しく負荷をかけるためには腹圧の維持と動作中の姿勢管理が欠かせません。
また、基本のスクワットに加え、腹筋への関与が高まるバリエーションを取り入れることで、より効果的に鍛えることができます。以下では、腹筋に効かせるためのスクワットの実践的なやり方を紹介します。
腹圧を意識したフォームで行う
スクワットで腹筋にしっかり刺激を届けたい場合、腹圧を意識したフォームでの実施が不可欠です。腹圧とは、腹腔内の圧力を高めて体幹を安定させる力のことで、これを維持することで自然と腹筋が働き続ける状態を作り出せます。
まず大切なのは、動作前にブレイシングを行うことです。ブレイシングとは、息を大きく吸ってお腹を膨らませたあと、力を入れながら吐き出し、腹部全体にテンションをかけるテクニックです。この状態を保ったままスクワットを行うと、腹筋(特に腹横筋)が連続して活動し、体幹の強化と引き締め効果が得られます。
実際のフォームでは、胸を張り、背中を丸めず、膝がつま先より前に出すぎないように注意します。そのうえで、お腹にぐっと力を入れたまましゃがみ込み、立ち上がるまで腹筋を緩めない意識が重要です。
また、初心者はフォームを安定させるために、壁の前でスクワットを行ったり、軽いダンベルを持って重心を安定させるのも効果的です。最初は回数を多くこなすよりも、正しいフォームを習得することを優先しましょう。
このように、腹圧を意識したスクワットは、お腹まわりを引き締めたい人や体幹を鍛えたい人にとって、非常に有効なアプローチになります。
バリエーションで腹筋への刺激を高める
基本のノーマルスクワットでも腹筋に効果はありますが、より積極的に刺激を与えたい場合は、体幹への関与が強まるスクワットのバリエーションを取り入れるのがおすすめです。
例えば、フロントスクワットは、バーベルやダンベルを肩の前で持った状態で行うため、前傾姿勢を防ぐ必要があり、結果として腹筋や背中の筋肉に高い緊張を強いられます。特に腹直筋と腹斜筋の関与が大きく、体幹のバランス力も求められる種目です。
次にオーバーヘッドスクワットは、バーベルやダンベルを頭上に構えて行うスクワットで、全身の筋肉が連動する上級者向けトレーニングです。この動作では、腹圧を抜くとすぐにフォームが崩れてしまうため、強烈に腹筋を使わざるを得ません。見た目以上に腹部への刺激が大きく、体幹トレーニングとしても非常に優れています。
また、ピストルスクワット(片脚スクワット)やスプリットスクワットなどの片脚トレーニングもおすすめです。左右の筋力差やバランスを整える効果があり、同時にコアマッスルの強化にもつながります。
自重で行う場合でも、両手を前に伸ばしてバランスを取りながら行うだけで、腹筋の関与が高まります。道具がないときでも、フォームの工夫や片足スクワットなどで負荷を調整することが可能です。
腹筋とスクワットを組み合わせたおすすめトレーニング

腹筋に効かせるスクワットをより効果的に活用するには、他の体幹トレーニングと組み合わせたメニューを取り入れるのが有効です。スクワットは下半身と体幹に同時に負荷をかけられる種目であり、これに腹筋運動を加えることで、引き締まったお腹と安定した姿勢づくりを同時に叶えることができます。
ここでは、初心者から中級者まで取り入れやすいお腹周りの集中強化と体幹との連動性に着目したトレーニング例を紹介します。
お腹周りを集中的に鍛えられる組み合わせ
お腹痩せを目的とする方は、脂肪燃焼と筋肉刺激をバランスよく得られるスクワット+腹筋のサーキットトレーニングがおすすめです。スクワットは下半身を動かすことで心拍数を上げ、基礎代謝を高めます。その直後に腹筋を集中して動かすことで、代謝が高まった状態での腹部刺激がより効果的になります。
- ノーマルスクワット×20回
- クランチ×15回
- ジャンプスクワット×15回
- レッグレイズ×15回
- スクワットホールド(30秒キープ)
- プランク(30秒)
このように、スクワットと腹筋種目を交互に組み合わせることで、有酸素・筋トレ両方の効果が期待できます。特に脂肪が多く、筋肉の存在が見えにくい腹部では、まずは代謝を高めることが重要です。サーキット形式なら短時間でも効率よく鍛えられるため、忙しい人にも適しています。
また、日によって腹筋メニューを変えることで飽きずに継続でき、筋肉への刺激も分散できるため、筋肥大にもつながりやすくなります。
体幹とスクワットの組み合わせ
スクワットは動作中に全身を使うため、体幹の安定性が求められます。これに対し、静的な体幹トレーニング(プランクなど)を加えることで、より深層の筋肉をターゲットにすることが可能です。動的トレーニングと静的トレーニングを交互に行うと、筋肉の協調性が向上し、姿勢改善や腹部の引き締めに効果的です。
- スクワット×15回
- プランク(30秒)
- スクワットジャンプ×10回
- バードドッグ(左右各10回)
- ゴブレットスクワット×12回
- プランク・ヒップツイスト×20回
このトレーニング例は、スクワットで代謝を高めつつ、プランクやバードドッグで腹横筋や多裂筋といったインナーマッスルを強化します。これにより体幹の支える力が養われ、スクワットのフォームも安定してケガの予防にもつながります。
なお、負荷が高すぎるとフォームが崩れて効果が半減するため、回数や時間は自分のレベルに合わせて調整してください。正しい姿勢と呼吸を意識しながら、腹筋とスクワットを連動させることで、全身の筋力バランスを整えることが可能です。
スクワットで腹筋を鍛えるときの注意点

スクワットを通じて腹筋や体幹を鍛えることは可能ですが、誤ったフォームや意識の欠如があると、効果が半減するばかりか腰痛や姿勢の悪化といったリスクを招くこともあります。特に、腹圧を抜いたまま動作を繰り返したり、背中が丸まったままスクワットを行ってしまうと、腹筋ではなく腰や他部位に余計な負担がかかります。
ここでは、スクワットで腹筋を安全かつ効果的に鍛えるために注意すべきポイントを2つに絞って詳しく解説します。
腰痛や猫背フォームに注意する
スクワット中に腹筋をうまく鍛えられない原因の多くは、フォームの崩れによるものです。特に注意したいのが、背中が丸まり猫背姿勢になる骨盤後傾や腰が反りすぎてしまう過伸展の状態です。これらの姿勢は、腹筋への刺激が弱くなるだけでなく、腰部や膝への負担を増大させ、腰痛のリスクを高める大きな要因となります。
猫背になりやすい人は、肩が内側に入っていたり、骨盤が後ろに傾いていたりすることが多く、体幹の筋力不足が原因であることも少なくありません。スクワット中に腹筋を鍛えるためには、まず背中をまっすぐに伸ばし、骨盤を立てたニュートラルポジションを維持することが基本です。
また、しゃがみ込みが浅すぎても深すぎてもフォームは崩れがちです。膝とつま先の向きを揃え、股関節をしっかり使って動作を行うことで、自然と体幹が安定し、腹筋への関与も高まります。
鏡で自分の姿勢を確認することで、自分の癖に気づくことができます。正しいフォームを維持することで、安全性を高めながら、腹筋への刺激を最大限に引き出すことができます。
呼吸とフォームの連動を意識する
スクワットで腹筋をしっかり鍛えるためには、呼吸とフォームの連動を意識することが非常に重要です。呼吸を適切に行うことで腹圧が高まり、体幹の安定性が増すため、腹筋がより強く関与するようになります。
まず、動作を始める前に腹に空気を入れるように深く吸い込み、腹部を膨らませることで腹圧を作ります。そして、しゃがむ動作に入ると同時にその腹圧を維持し、立ち上がるタイミングで息を少しずつ吐き出すという流れが理想的です。このとき、腹筋を意識的に引き締めたまま呼吸をすることで、より深い筋肉である腹横筋や多裂筋などにも刺激が届きます。
注意したいのは、息を止めたまま動作を行うバルサルバ法を初心者が不用意に取り入れてしまうケースです。この方法は一時的に強い腹圧をかけることができますが、血圧の急上昇や立ちくらみなどのリスクがあるため、慣れていない方にはおすすめできません。まずは吸う→止める→吐くという自然な呼吸と動作の連携を覚えることが大切です。
また、腹圧を抜いたままスクワットをすると、腰椎に負担がかかり、腰痛の原因になります。腹筋を締めながら、呼吸を浅く、安定的に続けられるように練習を重ねることで、より安全で効率的なトレーニングが可能になります。
呼吸を意識したフォームでスクワットを行うことで、見た目の筋肥大だけでなく、機能的な体幹強化にも直結します。日常生活での姿勢改善や腰痛予防にも役立つため、ぜひ取り入れてみてください。
スクワットと腹筋のQ&A
- スクワットだけで腹筋は割れますか?
-
スクワットで腹筋を鍛えることはできますが、割るためには筋トレだけでなく体脂肪の減少が必要です。腹筋が見えるようになるには、スクワットによる筋肥大と、食事管理や有酸素運動による体脂肪のカットを組み合わせることが不可欠です。
- お腹痩せにはスクワットと腹筋どちらが効果的?
-
お腹痩せにはスクワットのほうが効果的な場合が多いです。スクワットは太ももやお尻などの大きな筋肉を使うため、消費カロリーが高く、基礎代謝の向上につながります。腹筋運動は引き締めには有効ですが、脂肪燃焼にはやや効果が弱めです。
- スクワットをしているのに腹筋に効いている感覚がない場合はどうすればいいですか?
-
フォームや腹圧の意識が足りていない可能性があります。お腹に力を入れたまま動作を行うブレイシングを意識し、背中を丸めず、腹筋を締めた状態をキープすることで腹筋への刺激が高まります。
- 腹筋を鍛えるためにおすすめのスクワットの種類はありますか?
-
体幹に強い負荷をかけられるフロントスクワットやオーバーヘッドスクワットがおすすめです。これらは姿勢の安定性が求められるため、腹筋群が積極的に働きます。初心者の場合は、腹圧を意識したノーマルスクワットから始めましょう。
スクワットで下半身と腹筋を同時に鍛えよう

スクワットは下半身の強化だけでなく、腹筋や体幹にも効果を発揮する全身運動です。正しいフォームで腹圧を意識しながら行えば、腹直筋や腹横筋にも刺激が入り、引き締まったお腹や安定した姿勢づくりに役立ちます。
また、体幹トレーニングや腹筋種目と組み合わせることで、より効果的にお腹周りを鍛えることが可能です。スクワットを上手に活用して、全身バランスよく引き締まった体を目指しましょう。