筋トレにおいて頻繁に使われる「レップ(rep)」という言葉は、トレーニングの成果や効率を左右する重要な指標です。レップとは1回の反復動作を意味し、適切なレップ数の設定は筋肥大・筋持久力・引き締めなど、目的ごとに最適な効果を得るために欠かせません。
しかし「何回を目安にすればよいのか」「セットとの違いは?」と疑問を持つ方も多いはず。この記事ではレップの基本的な意味から、目的別の最適な回数設定まで分かりやすく解説します。
筋トレのレップ(rep)の意味

筋トレにおける「レップ(rep)」は、1回の動作の繰り返しを指し、トレーニング効果を最大化するための基本的かつ重要な概念です。筋肉への刺激量や成長を左右するのは、単なる回数ではなく、目的に応じて適切に設定されたレップ数です。同じ筋トレ種目でも、レップ数によって鍛えられる筋肉の性質や得られる効果が変わります。
具体的には、1レップはスクワットなら「しゃがんで立ち上がる」、ベンチプレスなら「バーベルを胸まで下ろして持ち上げる」といった1往復の動作を指します。これを連続して行うことでセット(set)が構成されます。レップ数を明確に意識することで、筋トレの負荷管理がしやすくなり、自分の目的やレベルに合ったトレーニングプランの作成や、効果的な進捗管理が可能になります。
また、レップの意味を理解することで、筋肥大や筋持久力、引き締めといった目標達成につながります。高重量で少ないレップ数は主に筋力や筋肥大を狙い、軽めの重量で多くのレップ数は筋持久力の向上や引き締めに効果的です。単に「何回やるか」ではなく、「何を目的に、どのくらいの重さと回数で行うか」が重要となります。
レップ(rep)とセット(set)の違い

筋トレの基本用語である「レップ(rep)」と「セット(set)」は混同されやすいですが、それぞれ異なる意味を持ち、効果的なトレーニングには正しい理解が欠かせません。レップは「repetition(レペティション)」の略で、1回の反復動作を指します。一方でセットは、そのレップを一定回数繰り返した「ひとまとまりの単位」を意味します。
なぜこの違いが重要なのかというと、レップとセットを正しく区別することで、自分の目的に合ったトレーニングメニューを組むことができ、効果的な筋力アップや筋肥大、持久力向上を実現できます。例えば、ベンチプレスを10回持ち上げるのが1セットであれば、この10回の1回ごとがレップとなります。そして「10回×3セット」といった形で、全体のボリュームを調整することが可能です。
多くの筋トレ初心者が「何回やればいいのか」「何セット組めば効果があるのか」と悩みますが、レップとセットの意味を正確に把握していれば、自分の目的や筋力レベルに応じて最適な回数・組み方を設定できます。筋肥大を目指すなら、8~12レップを1セットとして3セット行うことが一般的です。逆に筋持久力を高めたい場合は、15回以上のレップを複数セット繰り返すことのが最適になります。
このように、「レップ」と「セット」は筋トレのプログラムを組むうえで欠かせない基本用語です。それぞれの意味を理解し使い分けることで、より効率的に理想の体づくりへと近づくことができます。
筋トレのレップ数とトレーニング効果

筋力トレーニングにおいて「レップ数(rep数)」とは、1セット内で繰り返す挙上動作の回数を指します。一般的に、扱う重量とレップ数は反比例の関係にあり、高重量では少ないレップ数(低レップ)、低重量では多いレップ数(高レップ)になります。
従来から「レップ数の反復回数範囲によって得られる効果が異なる」という考え方が知られ、「1~5回の低レップは筋力向上に最適」「8~12回の中程度レップは筋肥大に最適」「15回以上の高レップは筋持久力向上に最適」とされています。
ここでは、レップ数と筋力・筋肥大・筋持久力の関係について解説します。
レップ数と筋力

最大筋力(1RM)の向上を目指す場合、高重量・低レップのトレーニングが効果的です。低負荷・高レップ訓練よりも高負荷・低レップ訓練のほうが筋力の伸び幅が有意に大きく、効果量で中~大程度の差が確認されています。
この傾向は上下肢いずれの筋力テストでも同様であり、若年者だけでなく高齢者においても重い重量での低レップ訓練が筋力向上に優れていたとの報告があります。重い負荷でのトレーニングは神経筋の適応(より多くの筋繊維を動員させる能力)を促し、筋力発揮に有利だと考えられます。
一方、軽い負荷でいくら高回数をこなしても、最大筋力を発揮するための神経系トレーニング刺激が不足するため、筋力面での効果は限定的です。このように、筋力を最大限に高めるには高重量×低レップが基本であり、研究でもその優位性が明確に示されています。
レップ数と筋肥大

筋肥大(筋肉量の増加)に対するレップ数の関係は、筋力ほど単純ではありません。かつてはボディビルダーの経験則などから「中程度の重量で8~12レップ程度が筋肥大には最適」とされてきました。しかし、現在では幅広いレップ数で筋肥大が起こり得ることが分かっています。実際、「高負荷・低レップ(1RMの60%超)と低負荷・高レップ(1RMの60%未満)の比較において、筋肥大の効果に有意な差は認められなかった」ことが報告されています。
統計的な効果量の差はごく僅か(0.03)で信頼区間も狭く、負荷そのもの(レップ数そのもの)は筋肥大効果の決定的要因ではないと結論付けられています。つまり、重い重量を少回数持ち上げる方法でも、軽い重量を高回数持ち上げる方法でも、筋肉を大きくすることは可能だということです。
もっとも、「どんなに軽い重量でも良い」というわけではなく、最低限30%1RM程度の強度(おおよそ20~30レップで限界になる負荷)が一つの閾値とされています。極端に軽すぎる負荷(例:1RMの20%程度、数十回以上反復可能な重量)では、高閾値の筋繊維まで十分に動員できず筋肥大効果が小さい可能性があります。
逆に30%1RM以上の負荷であれば高重量域との差は小さく、高負荷(例:80%1RM)で低レップを行った場合とほぼ同等の筋肥大が得られることが実験的にも示されています。したがって筋肥大そのものは6~20回以上の幅広いレップ数で達成可能であり、特定の「筋肥大に最適な反復回数ゾーン」は存在しない、と考えられています。
筋肥大効果に関する重要なポイントは、「高レップであっても筋肉が疲労困憊する近くまで追い込むこと」です。軽い重量でも限界近くまで反復すれば最終的に速筋線維(高閾値の筋繊維)まで動員されるため、高重量の場合と同様の筋タンパク合成刺激が得られると考えられています。
実際、低負荷トレーニングでも各セットを高い努力水準(高い筋疲労)で行った場合には、筋タンパク合成や筋肥大の長期適応が重負荷時と同程度に起こることが確認されています。一方、軽い負荷で途中で止めてしまい筋疲労が不十分な場合、筋肥大効果が劣ることも報告されています。したがって、高レップ訓練で筋肥大を狙う際は「ある程度の追い込み」がポイントです。
筋肥大に関しては高重量から低重量まで多様なレップ帯で効果を得られるため、自分が扱いやすい負荷設定で適切に筋疲労を得ることが重要だといえます。

筋持久力アップに効果的なレップ数

筋持久力とは、軽~中程度の負荷に対して筋肉が繰り返し収縮し続けられる能力です。具体的には「ある重量を何回持ち上げ続けられるか」あるいは「1RMに対する一定割合の重量で何回反復できるか」という形で評価されます。一般的な考えでは、筋持久力の向上には低重量・高レップ(15回以上)のトレーニングが適しているとされます。というのも、高レップトレーニングは筋肉の酸耐性や毛細血管密度、ミトコンドリア密度の増加など、筋疲労への抵抗力を高める適応を引き起こすと考えられているためです。
実際の研究でも、高レップのトレーニング群は低レップ群に比べて持久力テストの成績が大きく向上する傾向が見られます。Andersonらの研究では未訓練者を対象にベンチプレスで「高負荷・低レップ群(6~8RM)」「中負荷・中レップ群(30~40RM)」「極低負荷・超高レップ群(100~150RM)」の3条件で9週間トレーニングさせています。
その結果、絶対的持久力(全員一律の重さを何回挙上できるか)は、低レップ群が約9回増加したのに対し、中レップ群と超高レップ群はいずれも約15回増加し、高レップの方が持久力の向上幅が大きいことが分かりました。また相対的持久力(各自の1RMの40%の重さを何回挙上できるか)においても、低レップ群はトレーニング後に7%低下したのに対し、中・高レップ群はいずれも20%以上向上しています。このように、一部の研究では軽い負荷で高回数こなすトレーニングが持久力には有利であると示されています。
しかしながら、筋持久力に対するレップ数効果のエビデンスは必ずしも一貫していません。例えば、Stoneらの研究では未訓練女性を対象に同様の比較を行ったところ、上半身の持久力テスト(ベンチプレスの反復回数)では中レップ群が最も向上し、高レップ群はかえって劣る結果が得られています。
筋持久力に関しては高レップ訓練が有利なケースもあるものの、その効果差は筋力ほど明確ではないというのが現状です。特に上半身の筋持久力はレップ数による差が小さいか、場合によっては中レップ程度が最も効果的な可能性も報告されており、一方で下半身の筋持久力では高レップの利点が比較的はっきり見られる傾向があります。いずれにせよ、筋持久力向上を重視する場合は15回以上の高レップで筋肉を疲労させるトレーニングが推奨されることが多いですが、絶対にそれでなければならないという明確な根拠は十分固まっていないことを念頭に置くようにするのがよいといえます。
「高重量・低レップ」と「低重量・高レップ」どっちがいい?

「高重量・低レップ」と「低重量・高レップ」はどちらが優れているのか?と疑問に思う方も少なくありませんが、上記のとおり結論は一概ではありません。筋力を伸ばす目的であれば高重量・低レップが圧倒的に有利です。一方、筋肥大に関しては高レップ・低レップいずれの手法でもほぼ同等の効果が期待でき、強いて言えば「どちらも大事」というのが最新の知見です。実際、筋肥大を最大化するには高重量と低重量を組み合わせる方法も提案されており、異なる負荷域で刺激を与えることで筋肉内の様々な繊維を満遍なく発達させる狙いがあります。(※この手法の優位性については現時点で決定的な証拠はない)
高重量・低レップと低重量・高レップでは、トレーニング中の感覚や負担の種類も異なります。低重量高レップのトレーニングでは、後半に筋肉が焼け付くような代謝的ストレス(乳酸の蓄積によるパンプや燃えるような感覚)が強くなり、主観的なツラさが高まる傾向があります。
対して、高重量低レップのトレーニングでは代謝的なきつさは少ないものの、関節や腱への負荷が大きく、また1セットあたりの反復回数が少ない分セット数を増やさないと十分なボリュームを稼げないという欠点があります。重い重量×高セットの組み合わせは時間効率が悪いだけでなく、関節へのストレス蓄積やオーバートレーニングのリスクも高まるため注意が必要です。
このように両者のメリット・デメリットがあるため、「筋肥大や筋力を最適化するには様々なレップ数・負荷を取り入れるべき」との見解が示されています。特に初心者から中級者の場合、自分に合った重量設定でフォーム習得や筋肥大を図りつつ、徐々に扱える重量を高めて筋力向上を狙うというバランスの取れたアプローチが有効だといえます。
筋トレのレップに関するQ&A
- レップ(rep)とは何ですか?
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レップ(rep)とは、筋トレでの1回の反復動作を指します。例えば、スクワットでしゃがんで立ち上がる動作を1レップと数えます。
- レップ数とセット数はどう違いますか?
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レップ数は1セット内での繰り返し回数、セット数はそのレップを何セット行うかを指します。
- 筋肥大に効果的なレップ数は何回ですか?
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筋肥大を目指す場合、8〜12回のレップ数で限界が来る重さを使い、1セットあたり3セット前後が効果的です。
- 筋持久力アップには何レップが最適ですか?
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筋持久力向上を目指す場合は15回以上の高レップ数を軽めの重量で3セット以上行うのがおすすめです。
- レップ数が少ないと効果は出ませんか?
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目的によります。高重量で低レップの場合は筋力向上、適正重量で中レップは筋肥大、高レップは持久力や引き締めに効果的です。
目的に合わせたレップ数でトレーニングを行おう

筋トレにおける「レップ(rep)」は、トレーニング効果を左右する重要な要素です。目的ごとに最適なレップ数を設定することで、筋肥大、筋持久力アップ、引き締めなど、それぞれの目標により近づくことができます。
また、「レップ」と「セット」の違いを理解し、計画的にトレーニングを行うことで、効率的かつ安全に体づくりが進められます。自分の目的や体力レベルに合わせて、最適なレップ数を選び、理想の体を目指しましょう。