お尻や体幹を効率的に強化したい方に注目されているのが「ワンレッグヒップリフト」です。片足で行うことで、一般的なヒップリフトと比べて大殿筋やハムストリングスへの負荷が格段に高まり、筋肉の非対称性の改善やバランス能力の向上にも効果的です。また、体幹部や骨盤周辺の安定性も同時に鍛えられるため、スポーツパフォーマンスの向上や腰痛予防にも役立ちます。
この記事では、ワンレッグヒップリフトで鍛えられる主な筋肉部位、正しいやり方、効果を最大化するコツやバリエーションまで徹底解説していきます。
ワンレッグヒップリフトで鍛えられる部位
ワンレッグヒップリフトは、片足で体を支えながらお尻を持ち上げる動作を行うことで、下半身と体幹の多くの筋肉をバランス良く鍛えられる自重トレーニングです。特にお尻の大殿筋や太もも裏のハムストリングス、さらに背中側の脊柱起立筋などが主に刺激され、筋力アップやヒップアップ、体幹の安定性向上といった幅広い効果が期待できます。
ここでは、ワンレッグヒップリフトで鍛えられる主な筋肉部位について詳しく解説します。
大殿筋

ワンレッグヒップリフトの主なターゲットとなるのが大殿筋です。大殿筋は人体最大の筋肉であり、主に股関節の伸展、つまり太ももを後ろに引く動きに関与しています。ワンレッグヒップリフトの動作では、骨盤を安定させたまま片足でお尻を持ち上げるため、大殿筋への負荷が集中しやすく、特に深層部までしっかりと刺激を与えることができます。
ワンレッグヒップリフトによって大殿筋が発達すると、ヒップアップやお尻の丸みといった見た目の向上はもちろん、歩行やランニング時の推進力向上や骨盤の安定性アップといった機能的なメリットも得られます。さらに、大殿筋の筋力が強化されることで股関節の動きが滑らかになり、膝や腰への余分な負担を減らすことにもつながります。
運動不足やデスクワークによる大殿筋の筋力低下は姿勢の崩れや腰痛の一因となりますが、ワンレッグヒップリフトを継続することでこれらのリスクを低減できるのも大きな魅力です。大殿筋を意識的に使うことは、機能的で美しいボディラインをつくるうえで非常に重要といえます。
ハムストリングス

ワンレッグヒップリフトは、ハムストリングスにもしっかりと負荷がかかる種目です。ハムストリングスは大腿部後面に位置し、大腿二頭筋・半腱様筋・半膜様筋の3つの筋肉群から構成されます。これらは膝関節の屈曲と股関節の伸展という二つの重要な関節運動に深く関与しており、下半身のパワーや柔軟性、安定性を支えています。
片足でヒップリフトを行うことで、体重の支持が片脚に集中し、ハムストリングスの筋繊維が集中的に刺激されます。その結果、脚全体の引き締めやパフォーマンス向上、さらには肉離れなどスポーツ障害の予防にも寄与します。
特にスポーツの現場ではハムストリングスの強化は必須とされており、日常生活でも歩行や階段の昇降、立ち座りといった動作の効率化や疲労軽減に大きく役立ちます。
脊柱起立筋

ワンレッグヒップリフトの動作において、体幹部の安定を担うのが脊柱起立筋です。脊柱起立筋は背骨の両側に沿って走る長い筋肉群で、主に脊柱の伸展・側屈・回旋に関与しています。片足で体を支えながら骨盤や背骨を安定させるワンレッグヒップリフトでは、無意識のうちに脊柱起立筋が強く動員され、姿勢保持や腰椎の安定化に大きく貢献します。
現代人は長時間のデスクワークやスマートフォン操作による姿勢不良で脊柱起立筋が弱体化しがちですが、このトレーニングを継続することで、猫背や反り腰の改善、腰痛予防にもつながります。また、脊柱起立筋の強化は、全身の動きの連動性やスポーツ動作時のパワー伝達効率の向上にも効果的です。
ワンレッグヒップリフトの正しいやり方
ワンレッグヒップリフトを効果的に行うためには、正しいフォームと動作手順を理解することが重要です。以下で正しい動作の方法を解説します。
仰向けになり、両膝を立てた状態から片足をまっすぐ伸ばします。手は体の横に置いて、手のひらを床につけて安定させましょう。伸ばした足は床と平行、またはやや高めにセットします。
残した片足のかかとで床をしっかり押しながら、骨盤を持ち上げて体を一直線にします。このとき、お尻の筋肉を強く収縮させる意識を持つことがポイントです。
上げ切った位置で1〜2秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻して反復します。元の位置に戻す際は、お尻が床に付かないギリギリのところまでにしましょう。完全にお尻が床に付いてしまうと、負荷が抜けてトレーニング効率が下がってしまいます。左右それぞれ10〜15回を1セットとして、慣れてきたらセット数を増やしましょう。
ワンレッグヒップリフトでは反動を使わず、お尻や体幹の筋肉で動作をコントロールすることが大切です。誤った動作では腰や太もも前側に負荷が逃げてしまい、鍛えたいお尻やハムストリングスへの効果が半減してしまいます。正しいフォームで継続することで、ヒップアップや体幹力向上を効率よく実感できます。

ワンレッグヒップリフトのコツ

ワンレッグヒップリフトで最大限の効果を得るためには、単に動作を繰り返すだけでなく、重要なポイントを抑えることが重要です。特に、骨盤や体幹の安定性、ターゲットとなる筋肉の使い方、そして正しいフォームの維持がトレーニング効果を左右します。これらを疎かにすると、狙った部位に負荷がかからず、効果が半減したり腰や膝に余計な負担がかかることもあります。
ここでは、ワンレッグヒップリフトを安全かつ効果的に行うための具体的なコツを解説していきます。細部まで意識して動作し、より高い筋力強化と美しいヒップラインを目指しましょう。
骨盤の位置を安定させる
ワンレッグヒップリフトで最も意識すべきポイントは、骨盤の位置を常に安定させることです。骨盤が左右に傾いたり回旋したりすると、ターゲットとなる大殿筋やハムストリングスへの負荷が分散し、効果が大きく減少してしまいます。
なぜ骨盤の安定が重要なのかというと、骨盤が動くことで腰椎や股関節への負担が増し、腰痛や関節トラブルの原因にもなりやすいからです。骨盤の傾きを鏡でチェックしながらトレーニングしたり、お腹に力を入れて体幹を固定することで骨盤の安定を意識しやすくなります。また、伸ばした脚が上がりすぎたり下がりすぎたりすると骨盤の位置が崩れやすいため、床と平行を保つ意識も大切です。
骨盤の安定を常に意識してワンレッグヒップリフトを行うことで、正しい部位にしっかり負荷がかかり、安全かつ効率的にトレーニング効果を得ることができます。
お尻の筋肉をしっかり使う意識を持つ
ワンレッグヒップリフトで確実に成果を出すためには、お尻の筋肉、特に大殿筋を主役として使う意識が不可欠です。フォームが乱れると、太ももや腰の筋肉に頼りがちになり、ターゲットの大殿筋への刺激が弱まります。
お尻の筋肉を意識する理由は、ヒップアップや下半身の引き締め効果を最大限に得るためです。動作の最初から最後までお尻をギュッと締めるように力を入れ、「お尻で持ち上げている」感覚を持つことでお尻の筋肉を上手く使えるようになります。
もしお尻への効きが弱いと感じた場合は、持ち上げる高さをやや控えめにしてフォームを見直したり、動作をゆっくり行って筋肉の収縮を強く感じながら実施しましょう。
体を一直線に保つ
ワンレッグヒップリフトでは、体全体を一直線に保つことも大切です。特に、肩から膝までが一直線になるように意識して持ち上げることで、正しい部位に負荷が集中します。
体を一直線に保つ理由は、姿勢が崩れることで腰や背中に過度なストレスがかかり、怪我のリスクが高まるからです。また、フォームが崩れると大殿筋やハムストリングスへの負荷も分散し、トレーニング効果が半減します。動作中はお腹に軽く力を入れ、体幹を固定しておくのがポイントです。
体を一直線に保ったまま丁寧にワンレッグヒップリフトを繰り返すことで、下半身全体の筋力アップと体幹の安定化を効率的に図ることができます。
ワンレッグヒップリフトのバリエーション
ワンレッグヒップリフトは、基本形だけでも十分に高い効果が得られる自重トレーニングですが、少し工夫を加えることで、さらに多彩な刺激を筋肉に与えることができます。バリエーションを取り入れることで、特定の筋肉に意識的に負荷をかけたり、筋力や柔軟性、体幹バランスの向上を図ることが可能です。初心者から上級者まで、それぞれのレベルや目的に応じて無理なくチャレンジできるのも魅力です。
ここでは、「膝に足を乗せるワンレッグヒップリフト」と「足を上に伸ばすワンレッグヒップリフト」という代表的なアレンジ方法を詳しく解説します。いつものトレーニングに変化を加え、さらなる効果アップを目指しましょう。
膝に足を乗せるワンレッグヒップリフト
ワンレッグヒップリフトの膝に足を乗せるバージョンは、基本形よりもバランスをとりやすく、初めてワンレッグ動作に挑戦する方や体幹の安定感を強化したい方におすすめです。
仰向けになり、片膝を立てた状態で、反対側の足首をその膝の上に軽く乗せます。手は安定感を出したい場合は体の横、負荷を高めたい場合は真上に伸ばします。
残した片足のかかとで床をしっかり押しながら、骨盤を持ち上げて体を一直線にします。このとき、お尻の筋肉を強く収縮させる意識を持つことがポイントです。
上げ切った位置で1〜2秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻して反復します。元の位置に戻す際は、お尻が床に付かないギリギリのところまでにしましょう。完全にお尻が床に付いてしまうと、負荷が抜けてトレーニング効率が下がってしまいます。左右それぞれ10〜15回を1セットとして、慣れてきたらセット数を増やしましょう。
膝に足を乗せたワンレッグヒップリフトは、基本形に比べて体重移動や骨盤の傾きをコントロールしやすくなり、お尻や体幹に集中的に意識を向けやすくなります。足を膝に乗せた状態だと骨盤の位置が安定しやすく、無理なくお尻の筋肉をしっかり収縮させることができるため、筋トレ初心者や女性、高齢者にも無理なく取り組めます。
また、このバリエーションでフォームの安定やお尻の収縮感を習得できれば、次のステップとしてより難易度の高いワンレッグヒップリフトにもスムーズに挑戦できます。
足を上に伸ばしたワンレッグヒップリフト
足を上に伸ばすワンレッグヒップリフトは、通常の片足ヒップリフトよりも難易度が高く、下半身の柔軟性や体幹の安定性をさらに強化したい方に最適なバリエーションです。
仰向けになった状態で片膝を曲げ、もう一方の脚を天井に向かってまっすぐ上げます。
残した片足のかかとで床をしっかり押しながら、骨盤を持ち上げて体を一直線にします。このとき、お尻の筋肉を強く収縮させる意識を持つことがポイントです。
上げ切った位置で1〜2秒キープしたら、ゆっくりと元の位置に戻して反復します。元の位置に戻す際は、お尻が床に付かないギリギリのところまでにしましょう。左右それぞれ10〜15回を1セットとして、慣れてきたらセット数を増やします。
足を上に伸ばしたワンレッグヒップリフトの姿勢になることで、体幹や骨盤周辺の筋肉への刺激が増し、大殿筋だけでなくハムストリングスや腹筋群にもより高い負荷をかけることができます。
なぜこの方法が効果的かというと、脚を高く伸ばすことで体の重心が変わり、バランスを保つために深層筋(インナーマッスル)が活性化されるためです。足を天井に伸ばしたまま動作することで「お尻がしっかり使えている感覚」「体幹部の安定性の高まり」といった実感が得られます。
このバリエーションは、フォームを維持する難易度が高いため、腰や背中が反らないよう注意し、鏡でフォームをチェックしながら行うのがおすすめです。足を上に伸ばすバージョンを取り入れることで、ワンレッグヒップリフトの効果を一段と引き上げることができます。
ワンレッグヒップリフトに関するQ&A
- ワンレッグヒップリフトはどこに効きますか?
-
主にお尻の大殿筋、太もも裏のハムストリングス、体幹の脊柱起立筋に効きます。さらに骨盤や体幹の安定性も同時に強化できるため、ヒップアップや姿勢改善にも効果的です。
- ワンレッグヒップリフトはどのくらいの回数・セット数が効果的ですか?
-
初心者は左右各10回×2~3セットが目安です。慣れてきたら回数やセット数、動作のキープ時間を増やして強度を調整しましょう。
- ワンレッグヒップリフトで膝が痛くなった場合の対処法はありますか?
-
膝に痛みが出る場合は、足の設置位置やフォームを調整してください。また、両足ヒップリフトや膝に足を乗せるバリエーションから始めるのもおすすめです。
- ワンレッグヒップリフトはどんな効果がありますか?
-
お尻(大殿筋)や太もも裏(ハムストリングス)、体幹部の強化に効果的です。ヒップアップや姿勢改善、腰痛予防、スポーツパフォーマンス向上も期待できます。
- 女性や初心者でもワンレッグヒップリフトはできますか?
-
ワンレッグヒップリフトは女性や初心者でも行えます。難しい場合は、まず両足ヒップリフトや膝に足を乗せるバージョンから始め、徐々にステップアップすると良いでしょう。
ワンレッグヒップリフトで効率的にお尻を鍛えよう

ワンレッグヒップリフトは、お尻の大殿筋を中心にハムストリングスや体幹部まで効率よく鍛えられる優れた自重トレーニングです。片足で行うことで左右差の改善や骨盤・体幹の安定性も同時に強化でき、ヒップアップや姿勢改善、スポーツパフォーマンス向上まで幅広い効果が期待できます。
正しいフォームとコツを意識し、無理のない範囲でバリエーションも取り入れながら継続することで、理想的なヒップラインと機能的な身体作りに繋がります。自宅で手軽にできるワンレッグヒップリフトを、日々のトレーニング習慣にぜひ取り入れてみましょう。