ルシーでダイエット向きの食材であるオートミールですが、食べ過ぎて太った、お腹がゆるくなったといった経験をしたことがある方も少なくありません。
そこでこの記事では、オートミールが体に悪いといわれる理由や食べ過ぎによるリスク、注意点について解説します。正しい摂取量や食べ方を知ることで、安心してオートミールを生活に取り入れられるようになります。
オートミールが体に悪いといわれる理由

オートミールは健康に良いイメージがありますが、一方で「体に悪いのでは?」と健康リスクを懸念する方もいます。特に、過剰な食物繊維の摂取やオートミールに含まれるフィチン酸、さらには甘いトッピングなどが原因で、胃腸トラブルや栄養バランスの乱れが起こることがあります。ここでは、オートミールが体に悪いとされる主な3つの理由について解説します。
食物繊維の過剰摂取による消化トラブル

オートミールの大きな魅力のひとつが食物繊維の豊富さです。腸内環境を整え、便秘の予防や血糖値の上昇を抑える効果が期待されます。しかし、それも適量であればの話で、食物繊維を摂りすぎるとかえって消化器官に負担をかけてしまいます。
オートミールには、水溶性と不溶性、両方の食物繊維がバランスよく含まれています。水溶性食物繊維は腸内でゲル状になり、便を柔らかく保ちますが、大量に摂ると水分を過剰に引き込むため、軟便や下痢の原因になります。一方、不溶性食物繊維は腸のぜん動運動を促しますが、水分と一緒に摂らなければ、便が硬くなり便秘を悪化させることがあります。
また、オートミールを十分な水分を取らずに連日食べていると、消化不良やガス、お腹の張りといった症状が出やすくなる点も注意が必要です。
フィチン酸によるミネラル吸収阻害

オートミールに含まれるフィチン酸は穀物や豆類に自然に含まれる成分で、ミネラルと結びついてしまう性質があります。この性質が、栄養吸収の妨げとなる場合があるのです。
フィチン酸は、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛などのミネラルと結合し、体外に排出してしまうため、長期間にわたって大量に摂取すると、慢性的なミネラル不足を招く恐れがあります。特に、貧血気味の方や骨粗しょう症予防に努めている方にとっては、見逃せない要因です。
とはいえ、フィチン酸の影響を最小限に抑える方法もあり、一つはオートミールを調理前に数時間水に浸けること(オーバーナイトオーツなど)で、フィチン酸をある程度除去できます。もう一つは、ミネラルを豊富に含む食品(魚、海藻、乳製品)と一緒に摂ることで、栄養バランスを整える方法です。
オートミール単体に偏るのではなく、食材の組み合わせを意識すれば、フィチン酸のリスクは実質的に軽減することができます。
添加物やトッピングによる健康リスク

「オートミール=健康食」というイメージがありますが、市販の加工オートミールや過剰なトッピングを選ぶことで健康リスクにつながる可能性があります。
特に即席タイプのフレーバー付きオートミールやグラノーラ風の商品は人気である一方で、風味を出すために糖分、油脂、香料、保存料などが含まれていることが多いです。結果として、このようなオートミールを食べることでカロリーや脂質、添加物の摂取量が増えてしまいます。
また、自宅でオートミールを調理する際にも、バナナ・ハチミツ・ナッツ・ドライフルーツなどを大量にトッピングしてしまうと、知らず知らずのうちにオーバーカロリーになってしまうことも少なくありません。
さらに、甘味の強いオートミールを日常的に食べ続けると、味覚が変化してより甘いものを欲するようになる可能性もあります。これは、間接的に食生活の乱れや過食を招く要因となるでしょう。
オートミールを健康的に活用するには、なるべく無添加のロールドオーツやスティールカットオーツを選び、甘味のトッピングは果物1種類に抑えるなどの工夫が効果的です。
オートミールを食べ過ぎると太る?

オートミールはダイエットに良いといわれていますが、体重が増えてしまったと悩んでいる方も少なくありません。これは、オートミールが低GIである一方で、食べ方や摂取量によってはカロリーオーバーを招くためです。特に、糖分の多いトッピングや、1日に複数回の摂取、深夜の間食などが重なると、期待していたヘルシー効果が薄れてしまいます。
ここでは、オートミールで太る主な原因について、具体例とともに解説します。
高カロリーのトッピングが原因

オートミールそのものは低脂質・低GIで、1食30gあたり105kcalと非常にヘルシーな食品です。しかし、問題はその上にのせるものにあります。トッピングによっては、たった1杯で高カロリーなスイーツのような状態になってしまうこともあるのです。
朝食として「オートミール+バナナ+はちみつ+アーモンド+ドライフルーツ」の組み合わせをした場合、これだけで300~500kcalを超えることもあり、トッピングだけでオートミールの4〜5倍のエネルギーになる場合もあります。また、砂糖やシロップを加えることで、血糖値の急上昇を招き、食欲が増進されやすくなるという悪循環にも陥りかねません。
特に、甘いものが好きな方は、ヘルシーだからと安心して無意識のうちにトッピングを盛りがちです。しかし、オートミールを健康的に楽しむためには、果物は1種類、はちみつは小さじ1程度、ナッツは大さじ1までなど、ルールを決めて取り入れることが重要です。
食べる量とエネルギーバランスの崩れ

オートミールは栄養価が高い点も魅力のひとつですが、摂取カロリーが消費カロリーを上回れば当然ながら太ります。
オートミールの推奨摂取量は、1食あたり30g~50gが目安です。しかし、量が物足りない、満腹感が足りないと感じて、70g、100gと量を増やしてしまう方も少なくありません。100gのオートミールは350kcalとなり、ここにトッピングや調味料を加えると、1食で600~700kcalに達することもあります。
加えて、1日に2回以上オートミールを食べる場合、累積カロリーが1,000kcalを優に超えることも多いです。これでは、いくらGI値が低くても脂肪として蓄積されるのは避けられません。まずはオートミールの量を測る習慣を持ち、食べすぎない努力が重要であることを心得ましょう。
間食としての摂取タイミングの問題

オートミールは腹持ちが良く、アレンジも効くため、間食用のおやつや軽食としても人気です。しかし、間食に取り入れるタイミングによっては、太る原因となることがあります。
特に注意が必要なのが、夜遅くの摂取です。夕食後や深夜に小腹がすいたからとオートミール入りのクッキーやオートミールボウルを食べてしまうと、体が脂肪をため込みやすい時間帯に糖質やカロリーを摂取することになります。睡眠中は基礎代謝も落ち、エネルギー消費が低下するため、摂ったエネルギーはほとんどが脂肪として蓄積されやすくなるのです。
一方で、適切なタイミングでの摂取はダイエットの味方になります。例えば、昼食と夕食の間にオートミール入りスープを飲むことで、夕食のドカ食いを防ぎ、血糖値の急上昇も抑えられることもあります。
オートミールの間食利用は時間帯と内容が成功のカギとなり、夜遅くではなく日中のエネルギー消費が高い時間帯になるべく甘くない形で取り入れることが、太らないためのコツといえます。

オートミールを食べ過ぎると下痢になる?

オートミールは食物繊維が豊富で、腸内環境の改善が期待できます。しかし、体に良いからといって食べ過ぎると、かえってお腹が緩くなったり、下痢になったりと、トラブルを引き起こすことがあります。特に、普段の食事で食物繊維が少なかった人が、急にオートミールを取り入れると、腸内が対応しきれず不調を感じやすくなります。ここでは、オートミールの過剰摂取が下痢や便秘を引き起こす3つの原因について解説します。
水溶性食物繊維が腸を刺激

オートミールに含まれる代表的な栄養素のひとつが、β-グルカンをはじめとした水溶性食物繊維です。この成分は、血糖値の上昇を抑えたり、コレステロール値を下げたりといった効果がある一方で、摂りすぎると腸に強い刺激を与えてしまうことがあります。
水溶性食物繊維は水を吸収してゲル状になり、便を柔らかくする働きがあります。通常であれば便通を整える助けになりますが、大量に摂取すると腸内の水分量が過剰になり、結果的に便が緩くなってしまうのです。特に、オートミールを1日2回以上、1回あたり50g以上食べている方や水分を多く含む調理法で食べている方は注意が必要です。
また、体が水溶性食物繊維に慣れていない段階で一気に取り入れると、腸の運動が過剰になり、腹痛や便意の頻発、下痢といった症状が現れることがあります。これは体が食物繊維の働きに順応する前の一時的な反応でもありますが、不快な症状を防ぐには段階的に摂取量を増やすことが大切です。
不溶性食物繊維と水分不足の組み合わせ

オートミールには水溶性だけでなく、不溶性食物繊維もバランス良く含まれています。不溶性食物繊維は便のカサを増やし、腸を刺激してぜん動運動を促す役割を持っていますが、水分が不足すると逆に腸のトラブルを引き起こす可能性があります。
不溶性食物繊維は、体内で水分を吸収して膨らみます。この働き自体は便の通りを良くするために効果的ですが、十分な水分が同時に摂取されていない場合、腸内で急激に膨張して腸壁を過度に刺激し、排出を早めてしまうことで下痢の原因となることがあります。
朝食にオートミールを食べたにもかかわらず水分をほとんど摂らなかった場合やコーヒー・アルコールなどの利尿作用のある飲料と一緒に摂取した場合、体内の水分バランスが崩れて腸の動きが乱れることが要因になることも考えられます。
また、不溶性食物繊維は胃腸が弱っているときやストレスが強いときにも反応しやすく、便が固まる前に排出されてしまうことでゆるい便、突然の便意などの症状が現れることがあります。
このようなトラブルを防ぐには、オートミールと水分を一緒に摂ることを心がけ、白湯やスープ、ハーブティーなど、体を温める飲み物と一緒に食べると腸の働きを助けつつ不快な症状を抑える効果が期待できます。
腸内細菌の急激な変化

オートミールの食物繊維は、腸内の善玉菌のエサになるプレバイオティクスとしての役割も果たします。これは腸内環境を整えるという意味では非常に優れた効果ですが、短期間で急激に食物繊維を増やすと、腸内細菌のバランスが一時的に崩れ、下痢やガスの原因になることがあります。
腸内にはおよそ100兆個以上の細菌が存在しており、その構成は人それぞれ異なります。オートミールに含まれる食物繊維が腸内に届くと、善玉菌が活性化されますが、その代謝過程でガスが発生したり、腸の活動が過敏になったりする場合があります。これにより、腹部の膨満感、軟便、突然の便意などが起こりやすくなるのです。
特に、日頃の食生活で野菜や穀物が少なかった人が、急にオートミールを多量に取り入れると、腸内の菌がうまく対応できず、不調として現れてしまうことがあります。
ただし、これはあくまで一時的な反応であり、数日〜1週間程度で腸内細菌が新しい環境に適応すれば症状はおさまり、便通の改善や腸内フローラの正常化が期待できます。
オートミール安全に楽しむコツ

オートミールは健康的な主食や間食として人気ですが、誤った摂り方をすると体調不良や体重増加といった逆効果を招くことがあります。大切なのは量・水分・食べ方の3つのポイントをしっかり押さえて、無理なく、おいしく、安全に継続することです。
ここでは、トラブルを避けながら健康効果を得るための実践的なコツを解説します。
1日の適量を守る

オートミールの健康効果を得るには、まず適量を守ることが基本中の基本です。食べ過ぎれば、どんなに良い食品でも体にとって負担となり、腸の不調や体重増加の原因になります。
一般的な成人であれば、1食あたり30〜50g、1~2食程度(100g未満)を目安に取り入れるのが適量と考えられます。これは白米で言えばお茶碗軽めの1杯分に相当し、意外と少なく感じるかもしれません。しかしオートミールは水分で膨らむため、調理後には2〜3倍のボリュームになり、十分な満足感が得られます。
問題となるのは、ヘルシーだからと安心して1日2回以上摂取したり、トッピングやおかわりで実質的に100g以上食べてしまう場合です。これではカロリーも糖質も過剰になり、かえって体脂肪が増える要因になります。また、食物繊維の過剰摂取でお腹が緩くなるなど、胃腸への負担も大きくなります。
日本人の食物繊維摂取目安量は、成人男性で21g以上、成人女性で18g以上とされ、1食でも摂取目安量の2割程度の食物繊維が摂取できます。また、オートミールのみで食物繊維を補おうとすると栄養に偏りが出てしまうため、野菜や果物、豆類など他の食品からバランス良く補うのが最適です。適正量である100gを超える量を摂取したい場合でも、栄養が偏らないよう他の食品との組み合わせに留意し、体調に違和感(お腹の張りや便通の乱れなど)があれば摂取量を見直してください。
オートミールの適量である100g未満を意識し、無理のない量で続けていくのが安全に楽しむコツです。
水分と一緒に摂る

オートミールを食べる際には、水分補給を意識的に行うことがとても大切です。食物繊維、とくに不溶性のものは腸内で水分を吸って膨らむため、十分な水分がないと逆に便が硬くなったり、腹部の張りや下痢の原因になってしまうことがあります。
飲み物で水分を摂取するのはもちろんのこと、オートミール自体を牛乳や豆乳で煮るポリッジスタイルで食べることで自然に水分を取り入れることも可能です。インスタントオートミールやグラノーラタイプのようにそのまま食べる場合は、どうしても水分が不足しがちになるので注意するようにしましょう。また、コーヒーや緑茶など利尿作用のある飲み物と組み合わせると、腸内の水分が奪われてしまうため、基本は水で水分を補うのが賢明です。
水分補給のタイミングとしては、食事中や直後にまとめて飲むよりも、食前・食中・食後にこまめに分けて摂取する方が腸にやさしく、消化吸収をスムーズに進めることができます。また、白湯や常温の水で腸を冷やさない工夫も効果的です。
快適な腸内環境と体調維持のためにも、オートミールと合わせて水分もしっかりと摂るように心がけましょう。
調理方法と食べ合わせを工夫する

オートミールはそのままでも食べられますが、調理法や食べ合わせを工夫することで、消化に優しく、さらに栄養価も高めることができます。とくに、腸内トラブルを防ぎながら楽しむためには、加熱や浸水を取り入れた調理法がおすすめです。
ロールドオーツを使用する場合は、牛乳や水にしっかり浸けてから火にかけ、柔らかくなるまで煮るポリッジが理想的な調理法になります。これにより、食物繊維が適度に分解され、腸への刺激が和らげることができます。さらに、胃腸が敏感な人や高齢者、小さな子どもにとっても食べやすくなるといった利点もあります。
加えて、野菜スープや味噌汁に入れて煮ると、腸に負担をかけずに他の栄養と水分も同時に摂取できます。甘くしたい場合は、果物の自然な甘みを使うのがおすすめです。はちみつやシロップは風味付け程度に抑え、糖質過多にならないよう注意しましょう。
オートミールは主食として食べるだけでなく、とろみづけやつなぎとして料理に応用することも可能です。ハンバーグのパン粉代わりやお好み焼きの生地に加えることで、食物繊維を無理なく取り入れられます。
オートミールは調理次第で栄養補給、腸活、時短調理など、様々な役割を果たしてくれます。消化にやさしく、飽きずに続ける工夫をしながら、毎日の食卓に無理なく取り入れていきましょう。

オートミールの食べ過ぎに関するQ&A
- オートミールは1日どれくらいまでなら食べても大丈夫ですか?
-
一般的には、1日100g程度までが目安です。1食30g〜50gを上限にすると、胃腸への負担を軽減できます。運動量や体格によって多少の増減は可能ですが、体調と相談しながら調整すると安心です。
- オートミールを食べると下痢になるのはなぜですか?
-
主な原因は食物繊維の急激な摂取です。水溶性食物繊維が腸に刺激を与えたり、不溶性食物繊維と水分不足が組み合わさったりすると、腸の動きが過敏になり下痢を招くことがあります。水分をしっかり摂る、量を徐々に増やすなどの対策が有効です。
- オートミールで逆に太るのはどんなときですか?
-
トッピングの糖分や脂質、食べる量が多すぎると、摂取カロリーがオーバーして体重が増えてしまいます。甘味料やナッツ、ドライフルーツの量を見直し、1食あたりのエネルギー量に気を配ることが重要です。
- オートミールは毎日食べても問題ありませんか?
-
適量を守れば、毎日食べても問題ありません。ただし、体質や腸の状態によっては不調が出ることもあるため、時にはほかの穀物とローテーションしながら食べるのもおすすめです。
腸をいたわりながらオートミールを活用しよう

オートミールは、正しく取り入れれば栄養価が高く、ダイエットや腸活に役立つ優れた食品です。しかし、食べ過ぎや水分不足、調理方法、食べ合わせの誤りがあると、下痢や体重増加といった逆効果につながることもあります。
大切なのは、1日100g以内を目安に、水分をたっぷり摂りながら、体に合った食べ方で継続することです。自分のライフスタイルに合わせて工夫しながら、無理なくオートミールを楽しみましょう。
