オートミールは健康に良い、ダイエットに使える、として注目されていますが、実際に購入しようとするとロールドオーツやクイックオーツなど、さまざまな種類があって迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
種類によって、食感や調理時間、使い方が大きく異なるため、自分に合ったものを選ぶことがとても重要です。本記事では、5種類のオートミールの違いや特徴、目的別の選び方をわかりやすく解説します。
オートミールは5種類

一言にオートミールといっても、加工法や形状によって複数の種類に分かれています。もっとも一般的なロールドオーツやクイックオーツ以外にも、スティールカットオーツやインスタントオーツ、さらには食物繊維が豊富なオーツブランなど、それぞれに特徴があります。味や食感、調理時間、栄養価も異なるため、自分の目的やライフスタイルに合ったものを選ぶことが大切です。
ここでは、主要な5種類のオートミールについて、詳しく解説していきます。
ロールドオーツ

ロールドオーツはもっともスタンダードで使いやすいオートミールで、粒の形がしっかりと残り、噛みごたえがあるのが特徴です。
製造工程では、燕麦(えんばく)を一度蒸してから平たくローラーで押しつぶし、乾燥させて作られます。この加工によりデンプンが部分的に糊化(こか)しており、消化吸収がよくなっています。加熱調理に5〜10分ほどかかりますが、その分、麦本来の甘みや香ばしさがしっかり残っています。
例えば、ロールドオーツを水やスープで煮て米化することで、白米のような食感に近づけることができ、糖質を抑えたい人の主食代替としても人気です。また、グラノーラや焼き菓子の素材としても幅広く使われており、オートミール初心者にも扱いやすいタイプといえるでしょう。
ロールドオーツは健康的な主食に置き換えたい、アレンジレシピに幅広く使いたいという人におすすめです。クセがなく調理の自由度も高いため、どんなライフスタイルにも取り入れやすい万能タイプです。
クイックオーツ

クイックオーツは、調理時間を短縮したい人にぴったりのオートミールで、やわらかく食べやすい口当たりと、短時間での加熱調理が特徴になります。
クイックオーツはロールドオーツをさらに細かく砕いて薄く加工したものなので、水や牛乳などの液体をすばやく吸収し、1~2分程度の加熱でふんわり柔らかく仕上がります。特に、朝食にサッと食べたいときや忙しい日の時短メニューに最適です。
調理方法としては、クイックオーツに温めた豆乳をかけ、バナナやはちみつをトッピングすれば、手間をかけずに満足感のある1品になります。また、消化が良いため、離乳食や介護食への活用にも向いています。味はあっさりとしており、他の食材の風味を邪魔しないので、甘い味付けにも塩気のある料理にもなじみやすいです。
簡単にすぐ食べたい、調理が面倒な日に時短で済ませたいという人には、クイックオーツが最も適しています。滑らかな食感が好みの方にもぴったりな選択肢といえます。
インスタントオーツ

インスタントオーツは、最も手軽に食べられるオートミールとして人気があります。最大の特徴は、お湯をかけるだけでそのまま食べられる利便性です。
製造工程では、クイックオーツよりさらに細かく加工され、すでにある程度加熱調理されているため、再加熱の必要がほとんどありません。そのままスープやお湯に溶かすだけで、とろみのある粥状に仕上がります。旅行やアウトドア、忙しいビジネスシーンにも活用できます。
調理方法としては、インスタントオーツに熱湯を注ぎ、フリーズドライの具材と味噌を混ぜるだけで、即席の和風雑炊が完成します。食欲がない日でもするすると食べられるため、体調がすぐれない時にも重宝します。ただし、製品によっては砂糖や香料などが加えられていることもあるため、原材料をチェックすることが大切です。
とにかく簡単に済ませたい、料理ができない状況でも食事を取りたい、そんなときに合うのがインスタントオーツです。栄養と手軽さを両立したい方には非常に便利な選択肢といえます。
スティールカットオーツ

スティールカットオーツは、オートミールの中でもっとも加工度が低く、粒の形状がしっかり残っているタイプです。しっかりとした噛みごたえと、麦本来の風味が強く感じられる点が特徴になります。
この加工方法により、粒の形状がほぼ原型をとどめているため、他の種類に比べて調理に時間がかかります。通常の鍋調理では20〜30分ほど必要で、電子レンジ調理ではやや工夫が求められます。しかしその分、プチプチとした噛み応えがあり、口の中で麦の風味がじわりと広がります。素材の味をしっかり感じられるのは、スティールカットオーツならではの魅力です。
調理方法としては、スープやリゾットの具材として使うのがとてもおすすめです。スティールカットオーツは煮込んでも煮崩れしにくく、アルデンテに近いしっかりとした食感を残せるため、料理に深みを加えることができます。また、他のオーツに比べて消化吸収が緩やかで、血糖値の急激な上昇を防ぎやすいことから、ダイエット中や糖質コントロールをしている人にも適しています。
スティールカットオーツはしっかり噛んで食べたい、血糖値を安定させたいという人にぴったりです。時間に余裕があるときの調理や食べごたえを重視した食事づくりに最適な種類と言えるでしょう。少し手間はかかりますが、そのぶん味と栄養の満足度は非常に高いです。
オーツブラン

オーツブランは、燕麦の「ふすま(外皮)」部分だけを使ったもので、他のオートミールとはまったく異なる特性を持ちます。最大の魅力は、豊富な食物繊維と低糖質という栄養価の高さにあります。
通常のオートミールは胚乳や胚芽も含まれていますが、オーツブランは繊維質がもっとも多く含まれる外皮部分のみで構成されているため、便通の改善や腸内環境のサポートに特化しています。特にβ-グルカンと呼ばれる水溶性食物繊維が豊富で、コレステロール値の改善や血糖値の急上昇を防ぐ効果も期待できます。
調理方法としては、オーツブランをパンやクッキーの生地に混ぜ込むことで、食物繊維を無理なく摂取することができます。水分を含むととろみが出るため、ヨーグルトに混ぜたりスムージーに加えたりする活用法も人気です。ただし、そのままではザラザラとした食感や穀物臭が強く感じられるため、単体での調理よりも他の食材との組み合わせがポイントになります。
食物繊維をしっかり摂りたい、腸活を意識しているという人は、オーツブランは理想的といえます。料理のアクセントや栄養強化素材として、日々のメニューにうまく取り入れることで健康効果が高まります。
オートミールの種類ごとの味と食感の違い

オートミールを毎日の食事に取り入れるうえで、味や食感の好みはとても大切なポイントです。実は、オートミールは加工方法による種類によって、それぞれ風味や口当たりが大きく変わります。
パサパサして食べにくい、香りが苦手といった失敗も、種類選びを間違えたことが原因の可能性もあります。ここでは、5種類のオートミールの味と食感の特徴を詳しく解説します。
ロールドオーツの味と食感

ロールドオーツは、オートミールの中でももっともバランスのとれた味と食感を楽しめます。最大のポイントは、麦本来の香ばしさとほどよい噛みごたえが両立していることです。
ロールドオーツは、燕麦を蒸して平たく伸ばした後に乾燥させて作られます。この工程によって、ほんのり甘く、香ばしい風味が引き出されるのが特徴です。加熱時にも香りがよく立ち、食欲をそそるナッツのような香りが広がります。味わいにクセがなく、どんな調味料とも相性がよいため、甘いレシピにも塩気のある料理にも柔軟に使えるのが魅力です。
食感は、噛むとやや弾力があり、口の中で麦の粒をしっかりと感じられます。粒がつぶれていない分、食べごたえがあるため、白米やパンの代用としても活用できます。オートミールの米化として加熱調理すれば、もちもちとした仕上がりになり、和食の副菜ともよく合います。
ロールドオーツは自然な風味と満腹感の両立を求める人におすすめのタイプです。主食として活用したい人や素材の味を活かしたいという人には、最も扱いやすく満足度の高いオートミールといえるでしょう。
クイックオーツの味と食感

クイックオーツは、その名のとおりスピーディーに食べられることに特化したオートミールです。軽やかな舌ざわりと素早くなじむ風味の柔らかさが魅力ポイントです。
クイックオーツは加工工程で細かく砕かれ、さらに薄く伸ばされているため、水やミルクとの馴染みが非常によく、短時間でしっとりとした食感になります。加熱せずにお湯や牛乳をかけるだけでもすぐにふやけ、なめらかな口当たりが得られます。味わいとしては、ロールドオーツよりもややあっさりしており、甘みや香ばしさは控えめです。逆に言えば、他の食材や調味料の味を邪魔しないという点で、非常に使い勝手が良いともいえます。
朝の時間がないときにクイックオーツにバナナやヨーグルトを合わせれば、即席で滑らかなオートミールボウルが完成します。子どもにも食べやすく、離乳食やお年寄りの食事にも多く利用されているのは、この柔らかさによるものです。
クイックオーツは調理の手軽さと食べやすさを優先したい人、滑らかで優しい味わいが好きな人、オートミール初心者の人にもぴったりの種類と言えるでしょう。
インスタントオーツの味と食感

インスタントオーツは、とにかく手軽に食べられることが最大の魅力で、味と食感も非常にマイルドです。ポイントは、瞬時に食べられる利便性とクリーミーで粥のような食感です。
すでに調理されているインスタントオーツは、熱湯や牛乳をかけるだけで食べられる即席タイプになります。そのため、粒は非常に細かく、口当たりはとてもなめらかで、スプーンでそのまますくえる柔らかさです。味は淡泊でクセがなく、他の味付けや食材とすぐになじむのが特徴といえます。
インスタントオーツにお湯を注いで粉末スープの素を加えるだけで、即席の朝食や軽食を作ることができます。忙しい朝や出先での食事、体調がすぐれないときなどにも便利で、食欲がない時にもスッと口に入ります。
最も簡単にオートミールを取り入れたい、クリーミーで柔らかい食感が好みという人に、インスタントオーツは最適な選択肢です。ただし、製品によっては味付きのものもあるため、無添加や無糖のものを選ぶとアレンジしやすくなります。
スティールカットオーツの味と食感

スティールカットオーツは、オートミールの中でもっともワイルドな食感と深い風味が感じられます。その最大の魅力は、噛むほどに広がる麦の甘みと、プチプチとした心地よい噛み応えです。
スティールカットオーツは、燕麦のもみ殻を取り除いた後、鋼鉄製の刃で粒を2〜3等分に切っただけの、ほとんど未加工に近い形状です。熱を通すのに時間がかかるため、加熱時間は20分以上が基本ですが、その分だけ麦の風味をしっかり感じられます。加熱しても粒の形が保たれ、もちもちというよりは弾けるような弾力が残ります。
味わいは、焙煎された麦に似た香ばしさがあり、ナッツのような風味を感じることもあります。ゆっくり噛むことでじわじわと甘みが広がり、自然の味を楽しむには最適な食材です。例えば、トマトベースのスープや洋風リゾットに加えると、しっかりした食感とともに料理全体にコクが生まれます。
スティールカットオーツはしっかり食べて満腹感を得たい、麦本来の香りを楽しみたい人にぴったりです。
オーツブランの味と食感

オーツブランは、燕麦の「ふすま(外皮)」部分を使用したもので、通常のオートミールとは異なる独特の味と食感を持っています。特徴は、高い繊維感とザラザラとした口当たりです。
ふすまは繊維質が豊富なため、水分を含むと少し粘り気が出ますが、粒自体は非常に細かく粉状に近い形状です。そのため、単体で食べるとややパサつきやえぐみを感じやすく、風味も穀物らしい香りが強めになります。好みによってはクセがあると感じるかもしれませんが、慣れると香ばしさがクセになることもあります。
調理方法としては、ヨーグルトやスムージーに混ぜると、自然に食物繊維を補えるうえに味の主張も抑えられます。また、パンや焼き菓子の生地に混ぜることで、栄養価をアップさせることも可能です。
単体ではやや扱いにくさがありますが、工夫次第で毎日の健康習慣に無理なく取り入れられる栄養素材です。

目的別のオートミールの選び方

オートミールは健康や美容をサポートする食材ですが、種類によって向いている用途が異なります。目的に合わせて最適なタイプを選ぶことが、飽きずに美味しく続けるためのコツです。例えば、ダイエット中の方は腹持ちの良さが重要ですし、小さな子どもや高齢者はやわらかさや消化のしやすさが求められます。また、料理のジャンルによっても相性の良い種類は変わってきます。
ここでは、目的別におすすめのオートミールの種類を詳しく解説していきます。
ダイエットにおすすめの種類

ダイエットを目的としてオートミールを取り入れるなら、最もおすすめなのはスティールカットオーツです。低GI値で血糖値の上昇を抑えられることと、咀嚼による満腹感が得られることがその理由になります。
スティールカットオーツは、加工度が低く、粒の形がほぼそのまま残っているため、消化吸収に時間がかかります。その結果、血糖値が緩やかに上昇し、空腹を感じにくくなるため、間食の予防にも効果的です。また、食べごたえのあるプチプチとした食感により、自然と咀嚼回数が増えることで満腹感を得やすくなります。
野菜たっぷりのスープにスティールカットオーツを加えれば、低カロリーながらもボリュームのある食事にすることができます。糖質を控えたい人も、食事の満足感を損なうことなくダイエットを続けやすいといえます。
調理に時間はかかりますが、そのぶん満足度と継続性に優れた種類といえるでしょう。

子供や高齢者におすすめの種類

小さな子どもや高齢者には、やわらかくて消化しやすいクイックオーツやインスタントオーツがおすすめです。
クイックオーツはロールドオーツを細かく砕いたもので、短時間でとろとろに柔らかくなります。ミルクやお湯と混ぜるだけでふんわり仕上がり、食べやすく、誤嚥のリスクも低減できます。インスタントオーツはすでに加熱加工されており、お湯を注ぐだけでそのまま食べられるため、料理に不慣れな方でも扱いやすいのが魅力です。
温めたミルクにクイックオーツを入れて、りんごやバナナを加えれば、甘みが増して子どもでも食べやすいおやつになります。高齢者には、出汁や味噌と合わせて雑炊風にすると、優しい味わいで食が進みます。
味付けや食材との相性も幅広いため、家族全員で取り入れやすい種類といえるでしょう。
料理別のおすすめの種類

オートミールをさまざまな料理に活用するなら、目的に応じて種類を使い分けることが重要です。ポイントは、食感、水分の吸収率、仕上がりの質感にあります。
主食として米の代用にするなら、ロールドオーツが最も適しています。粒がしっかりしているため、米化調理でごはんのような食感になり、白米を控えたいときにも違和感なく置き換えできます。
スイーツや焼き菓子に使うなら、クイックオーツがおすすめです。細かく砕かれていて生地になじみやすく、クッキーやマフィンに加えると、ふんわりとした仕上がりになります。甘みの強い食材とも調和しやすく、おやつ作りにぴったりです。
また、スープやリゾットなどの煮込み料理には、スティールカットオーツが最適です。長時間煮込んでも崩れにくく、しっかりとした食感が残るため、具材としても満足感が得られます。洋風・和風どちらの料理にも合わせやすい万能な食材です。
料理に応じてオートミールの種類を使い分けることで、仕上がりの完成度が大きく変わります。食べ飽きずに続けるためにも、用途に合わせた選択を意識するようにしましょう。
オートミールの種類に関するQ&A
- ロールドオーツとクイックオーツの違いは何ですか?
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ロールドオーツは粒がしっかりしていて噛みごたえがあり、クイックオーツはより細かく加工されており短時間で柔らかくなるのが特徴です。調理時間や食感が大きく異なるため、料理の用途に応じて使い分けるとよいでしょう。
- 子どもにも食べやすいオートミールはどれですか?
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クイックオーツやインスタントオーツがおすすめです。調理が簡単でやわらかく仕上がるため、離乳食や朝食としても使いやすいです。
- オートミールをスープやリゾットに使うならどの種類がいいですか?
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スティールオーツが最適です。粒がしっかりしており、煮崩れしにくいため、リゾットや煮込み料理でも存在感を保ちます。時短料理をしたい場合は、ロールドオーツもおすすめです。
- インスタントオーツはそのまま食べられますか?
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お湯やミルクを注ぐだけで食べられるよう加工されており、調理不要で便利です。
- オーツブランはどんな料理に使えばいいですか?
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ヨーグルトやスムージーへのトッピング、パンやクッキーへの練り込みなど、他の食材と混ぜて使うと風味や食感が気になりにくくなります。
オートミールの種類を知って上手に使おう

オートミールには、ロールドオーツ、クイックオーツ、インスタントオーツ、スティールカットオーツ、オーツブランといった多様な種類があり、それぞれに味や食感、使い方の違いがあります。
目的に合ったタイプを選ぶことで、ダイエットや健康維持、家族の食事管理などをスムーズに進められます。自分のライフスタイルに合ったオートミールを見つけて、無理なく美味しく続けられる食習慣を築いてください。