スプリットスクワットは、片脚を前後に開いた状態で行うスクワット種目です。特に大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群を効果的に鍛えることができます。片脚に重心を乗せるため、バランス力や体幹の安定性を高める効果も期待でき、アスリートから一般トレーニーまで幅広く取り入れられています。
しかし、その一方でフォームが崩れやすく、膝や腰に負担がかかるリスクがあるため、正しいやり方をマスターすることが重要です。この記事では、スプリットスクワットの正しいフォームやコツについて徹底解説していきます。
スプリットスクワットの正しいやり方
スプリットスクワットは、下半身強化や筋力バランスの改善に効果的なトレーニングですが、正しいフォームで行うことが重要です。誤ったやり方では、膝や腰を痛めるリスクが高まり、十分な効果が得られません。ここでは、スプリットスクワットの基本的な動作と正しいフォームを解説します。
足を前後に大きく開き、前脚の膝が90度に曲がる位置を基準に設定します。後脚のつま先は軽く立て、重心を前脚に乗せます。上体はまっすぐに起こし、骨盤が左右に傾かないよう意識しましょう。胸を張り、肩を下げてリラックスさせることもポイントです。
息を吸いながらゆっくりと腰を下げ、前脚の膝が90度になるまで沈み込みます。このとき、膝がつま先を超えないように注意しましょう。後脚の膝は床に軽く触れる程度で、勢いをつけずにコントロールすることが重要です。お尻を真下に落とすイメージで行うと、臀筋やハムストリングスに効果的に刺激を与えられます。
腰を下げきったら、息を吐きながら前脚を押し、元の姿勢に戻ります。この際、後脚で蹴り上げないように意識し、前脚のかかとで地面を押す感覚を持つと、下半身全体にしっかりと負荷がかかります。片側で10〜12回を1セットとし、左右交互に行うことでバランスよく鍛えられます。
スプリットスクワットの効果を最大化するためには、フォームの安定性が鍵となります。上体が前後に傾いたり、骨盤が左右にぶれたりすると、負荷が分散し、筋肉に効率的な刺激を与えられません。最初は自重でフォームを確認し、慣れてきたらダンベルやバーベルを取り入れると、さらに筋肥大効果が高まります。

スプリットスクワットのコツと注意点

スプリットスクワットは、正しいフォームを維持できなければ、膝や腰に負担がかかり、怪我のリスクが高まります。また、呼吸法を意識しないと、筋力を効率的に発揮できないこともあります。特に片脚に重心を乗せるため、バランスが崩れやすく、フォームの安定性が重要です。
ここでは、スプリットスクワットを効果的かつ安全に行うためのコツと注意点について詳しく解説します。フォームや呼吸、関節への負担を減らすポイントを押さえ、正しくトレーニングを行いましょう。
フォームを安定させるコツ
スプリットスクワットで効果を最大限に引き出すためには、フォームの安定性が必要になります。フォームが崩れると、ターゲット筋群への負荷が減り、怪我のリスクが高まります。フォームの安定させるためには以下の3つのポイントを意識しましょう。
- 足の位置と足幅を意識する
- 正しい姿勢を意識する
- 正しい動作を意識する
足の位置と足幅に関して、前脚の膝が90度に曲がる位置を基準に、足幅を決めましょう。足を狭くするとバランスが取りづらくなるため、肩幅程度の広さを確保します。後脚はつま先を立て、膝が自然に曲がる位置に配置するのがポイントです。これにより、後脚が支えとなり、前脚の安定性が増します。
上体は常にまっすぐに保ち、骨盤が前傾または後傾しないように意識しましょう。特に、腰を反らせると腰痛の原因になるため、体幹を引き締めて姿勢をキープします。胸を張り、背中をまっすぐにすることで、上半身が安定し、下半身への負荷が集中します。視線は正面を見据え、頭が前に出過ぎないように注意します。
動作中は、前脚のかかとで地面を押す感覚を持つことが重要です。つま先で押すとバランスが崩れやすく、膝への負担が増加します。また、膝が内側に入らないよう、足先と膝の向きを一致させると、安定感が向上します。初心者の場合は、壁に手をついてフォームを確認するようにしましょう。
バランス力が不足している場合は、自重での練習から始め、フォームが安定してきたら軽めのダンベルを持つと負荷が高まります。無理に重さを増やすより、まずは正確なフォームを確立することが大切です。こうしたポイントを意識することで、効果的にスプリットスクワットを実践できます。
効果を最大化する呼吸法のコツ
呼吸を意識することで、筋肉への酸素供給が改善され、動作中の安定性が向上します。逆に、呼吸を止めたり、乱れた呼吸をすると、パフォーマンスが低下し、フォームが崩れやすくなります。
基本の呼吸法は、「下げるときに息を吸い、上げるときに息を吐く」ことです。筋肉が伸張する局面で息を吸い、収縮する局面で息を吐くと、腹圧が安定し、体幹がしっかりと固定されます。特に、腰を痛めやすい人は、この呼吸法を徹底することで、腰部の負担を軽減できます。
下げる際には、鼻からゆっくりと息を吸い、腰が下がり切ったタイミングで呼吸を止めないよう注意します。深く息を吸うことで、胸郭が広がり、上体が安定しやすくなります。上げる際には、口から息を吐きながら、前脚のかかとで地面を押し、重心を上方に移動させます。
呼吸を止めると、血圧が急上昇しやすくなり、めまいや貧血を引き起こすリスクがあるため、自然な呼吸リズムを意識することが重要です。トレーニング中に呼吸が浅くなる場合は、セット間で深呼吸を入れ、酸素供給を意識するようにしましょう。
呼吸法が身につかない場合、動作を一連で行うのではなく、「下げる」「止める」「上げる」と段階的に練習するとスムーズです。これを繰り返すことで、筋肉と呼吸が連動し、自然に適切な呼吸法が身につきます。
膝や腰に負担をかけないための注意点
スプリットスクワットは効果的な下半身トレーニングですが、膝や腰に負担をかけやすい種目でもあります。特に、フォームが崩れた状態で繰り返すと、膝の靭帯や腰椎に過剰なストレスがかかり、怪我につながります。適切なフォームを意識し、安全に取り組むことが大切です。
膝を守るためには、つま先と膝の向きを一致させることがポイントです。膝が内側に入る「ニーイン」は、膝関節を不安定にし、靭帯損傷を引き起こす原因となります。特に重い重量を扱う際には、膝を外側に開く意識を持つと安定します。
腰に負担をかけないためには、背中をまっすぐ保つことが大切です。腰を反らせたり、猫背になると、腰椎にストレスが集中します。体幹を締めて骨盤をニュートラルポジションに保ち、腰部の過伸展を防ぎましょう。
また、膝がつま先を超えないように注意します。前脚のかかとに重心を乗せ、垂直に腰を下ろすイメージで動作を行うことで、膝への負荷が軽減されます。もし膝が痛い場合は、可動域を制限して、痛みがない範囲で実施することが安全です。
負担軽減のためには、トレーニング前に動的ストレッチを行い、股関節や膝周りを柔軟にしておくことも効果的です。こうしたポイントを守ることで、スプリットスクワットを安全に、かつ効果的に行うことが可能になります。

スプリットスクワットで鍛えられる部位と効果
スプリットスクワットは、下半身を集中的に鍛えることができる効果的なトレーニングです。特に、大腿四頭筋やハムストリングス、臀筋群といった主要な筋肉を刺激し、脚力向上やヒップアップに役立ちます。また、片脚で行う動作のため、体幹部や内転筋の安定性を高める効果も期待できます。
ここでは、スプリットスクワットで鍛えられる部位と、それぞれの効果について詳しく解説します。
大腿四頭筋

スプリットスクワットでは、特に前脚側の大腿四頭筋が大きく関与します。大腿四頭筋は、膝の伸展や足を前方に蹴り出す動作に不可欠な筋肉群であり、日常生活でも重要な役割を果たしています。この部位を強化することで、脚力が向上し、走行やジャンプのパフォーマンスアップが期待できます。
まず、スプリットスクワットの正しいフォームを取ることで、大腿四頭筋への効果を高めることができます。前脚の膝が90度に曲がる位置に足をセットし、重心を前脚に乗せるのがポイントです。腰を下げる際、膝がつま先より前に出ないように注意し、前脚のかかとで地面を押しながら立ち上がることで、四頭筋に強い刺激を与えられます。
一方、フォームが崩れると、効果が半減するだけでなく、膝関節に負担がかかりやすくなります。特に、膝が内側に倒れやすい場合は、足先と膝の向きを一致させる意識が必要です。ダンベルやバーベルを使う場合も、重心がぶれないよう、体幹をしっかりと固定して行いましょう。
ハムストリングス

ハムストリングスは、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋からなる筋肉群であり、特に膝の屈曲や股関節の伸展に関与します。これらの筋肉を鍛えることで、走力やジャンプ力の向上に直結します。
動作時に意識するポイントは、後脚をしっかりと伸ばし、骨盤が前傾しないよう体幹を固定することです。後脚が内側に入り込むとハムストリングスへの負荷が減り、臀部に偏ってしまいます。前脚をしっかり踏み込み、重心を安定させて腰を下ろすことで、ハムストリングスをしっかりと活用できます。
腰を下げる際には、膝が内側に倒れないように意識し、膝とつま先の向きを合わせましょう。重心が後方にずれると、ハムストリングスではなく臀部に負荷が集中するため、前脚のかかとを軸に動作を行うことが重要です。
臀筋群

スプリットスクワットは臀筋群、特に大臀筋を効果的に鍛える種目です。大臀筋は、ヒップアップ効果や体幹の安定性向上に欠かせない筋肉であり、下半身トレーニングでは重点的に鍛えたい部位です。中臀筋や小臀筋も同時に働き、股関節の安定をサポートします。
正しいフォームでは、腰をしっかりと落とし、臀部を意識的に引き締めながら動作を行います。体幹が前傾しすぎると、負荷がハムストリングスに偏りやすくなるため、上半身を垂直に保つことがポイントです。後脚の膝をゆっくりと床に近づけ、臀部の収縮を意識することで、大臀筋を最大限に活用できます。
体幹部

スプリットスクワットでは、片脚に重心を置くため、体幹部の安定性が重要です。特に、腹直筋や脊柱起立筋、腹斜筋が働き、上半身を支える役割を担っています。バランスを保つために体幹を固定することで、下半身の動作がスムーズになります。
体幹部をしっかりと使うためには、骨盤が左右に傾かないよう意識することが大切です。上半身が揺れると筋肉への刺激が減少し、効果が薄れてしまいます。トレーニング中は、腹圧を高め、姿勢を安定させることで、腰部への負担も軽減されます。
内転筋

内転筋は、脚を引き締めるだけでなく、骨盤の安定やO脚改善にも役立つ筋肉群です。特に、片脚での動作中に内転筋が働き、脚の内側を引き締めます。
内転筋をより活性化させるためには、足幅を広げすぎず、適度なスタンスを保つことがポイントです。骨盤を正しく保持し、脚を内側に引き寄せる意識を持つことで、内転筋にしっかり刺激を与えられます。
スプリットスクワットのバリエーション
スプリットスクワットは基本形だけでなく、さまざまなバリエーションを取り入れることで効果を最大化できます。目的に応じて負荷を調整し、筋肥大を狙う場合や瞬発力を高める場合など、多様なトレーニング方法が存在します。
特に、ジャンプスプリットスクワット、ダンベルスプリットスクワット、バーベルスプリットスクワットは、下半身強化や筋持久力の向上に効果的です。ここでは、代表的な3つのバリエーションを解説します。
ジャンプスプリットスクワット
ジャンプスプリットスクワットは、瞬発力と下半身の筋力を同時に鍛えることができるバリエーションです。特に大腿四頭筋、ハムストリングス、臀筋群が集中的に鍛えられ、動的な動作を含むため、心肺機能向上にも寄与します。
足を前後に開き、前脚の膝が90度に曲がる位置にセットします。胸を張り、体幹を安定させて、上体をまっすぐにキープします。
動作は、通常のスプリットスクワットと同様に腰を下ろし、その後に勢いよくジャンプして、空中で脚を入れ替えます。着地の際には、膝を柔らかく使い、衝撃を吸収するように心がけましょう。
呼吸のポイントとしては、腰を下ろすときに息を吸い、ジャンプの瞬間に息を吐きます。ジャンプ中に呼吸が止まらないよう意識し、リズミカルに動作を繰り返します。
反復回数は片脚あたり10〜12回を目安に、3セット実施すると効果的です。
効果を最大化するためには、ジャンプの高さよりもフォームの安定性を優先します。高さを意識しすぎて膝が内側に入ると、関節に負担がかかりやすいため、膝とつま先の向きを一致させることが重要です。また、着地時に足裏全体を使って衝撃を吸収することで、膝や腰の負担を軽減できます。
ダンベルスプリットスクワット
ダンベルスプリットスクワットは、筋力強化を目的としたバリエーションで、特に大腿四頭筋や臀筋に強い負荷をかけられます。ダンベルを使うことで筋肥大効果が高まり、左右の筋力バランスを整えるのにも役立ちます。
適切な重量のダンベルを両手に持ち、腕を自然に垂らして立ちます。足を前後に開き、前脚の膝が90度になる位置を基準に設定します。胸を張り、背筋を伸ばして体幹を固定し、上半身をまっすぐに保ちます。
前脚のかかとに重心を置き、ゆっくりと腰を下げていきます。膝がつま先を超えないように注意しながら、前脚の膝を90度に曲げ、後脚の膝は床につく手前で停止します。
腰を下げた際に息を吸い、立ち上がるときに息を吐きます。呼吸が乱れるとバランスが崩れやすいため、一定のリズムを意識することが大切です。
1セット12〜15回を目安に、左右交互に行うとバランスよく鍛えられます。
フォームが崩れやすいポイントとして、腰が反ったり、前脚の膝が内側に入ったりすることが挙げられます。ダンベルを持つと重心が前方にずれやすいため、体幹をしっかり固定し、上体が前に倒れないように注意が必要です。
バーベルスプリットスクワット
バーベルスプリットスクワットは、筋力アップを目的とする上級者向けのバリエーションです。バーベルを肩に担ぐことで、高重量を扱えるため、筋肥大や筋力向上に非常に効果的です。しかし、その分フォームが崩れやすく、怪我のリスクも高いため、十分な準備と正確なフォームが求められます。
バーベルを肩の上に担ぎ、両手でしっかり握ります。バーベルを持ち上げた後、足を前後に開き、前脚の膝が90度に曲がる位置を確認します。上半身は垂直を保ち、体幹をしっかりと固定します。
腰をゆっくりと下ろし、前脚のかかとに重心をかけながら膝を曲げ、後脚の膝が床に近づくまで下げます。
息を吸いながら腰を下げ、立ち上がる際には息を吐きながら、前脚のかかとで地面を押し返します。動作中にバーベルが揺れるとバランスを崩すため、体幹を強く意識し、左右のブレを抑えましょう。
1セット8〜10回を目安に、左右交互に実施します。
注意すべきポイントは、重心が前方に傾くことです。バーベルの重量が増えると、自然と上半身が前傾しやすくなります。これを防ぐために、腹圧を高め、背中をまっすぐに保つ意識が重要です。バランスを保つためには、軽めの重量から始め、フォームを確立してから重量を増やすことが大切です。
スプリットスクワットに関するQ&A
- スプリットスクワットとブルガリアンスクワットの違いはなんですか?
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スプリットスクワットは両脚を地面に置いたまま行うのに対し、ブルガリアンスクワットは後脚をベンチなどに乗せて行います。そのため、ブルガリアンスクワットの方が後脚の負荷が軽減され、前脚への負荷が強まります。ヒップアップやバランス力を強化したい場合はブルガリアンスクワットが効果的です。
- スプリットスクワットとランジの違いはなんですか?
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スプリットスクワットは足を固定したまま上下運動を繰り返すのに対し、ランジは前後に動くことで動的なバランス力が求められます。スプリットスクワットは安定性が高く、筋肥大向きです。一方、ランジは心肺機能向上や有酸素的効果も期待できます。目的に応じて使い分けましょう。
- ダンベルスプリットスクワットとバーベルスプリットスクワットではどちらが効果的ですか?
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筋肥大を狙う場合、バーベルスプリットスクワットの方が高重量を扱えるため効果的です。一方、ダンベルスプリットスクワットはバランス力を高める効果があり、上半身も連動させやすい利点があります。初心者はダンベルから始め、慣れてきたらバーベルに移行するのが最適です。
- スプリットスクワットの効果を高めるポイントはありますか?
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効果を高めるには、正しいフォームを徹底することが重要です。特に、体幹を安定させて膝が内側に入らないように意識しましょう。負荷を上げたい場合は、ダンベルやバーベルを使うと良いですが、まずは自重でフォームを確認してから重量を増やすのがおすすめです。
スプリットスクワットで下半身を引き締めよう

スプリットスクワットは、大腿四頭筋やハムストリングス、臀筋群を効果的に鍛えられる下半身トレーニングです。片脚を前後に開いて行うことで、体幹の安定性も同時に強化でき、左右の筋力バランスを整える効果も期待できます。バリエーションとして、ジャンプスプリットスクワットやダンベルスプリットスクワット、バーベルスプリットスクワットなどがあり、目的やレベルに合わせて取り入れることが可能です。
正しいフォームを意識し、膝や腰に負担がかからないよう注意して実施することで、筋肥大やヒップアップ、瞬発力の向上が期待できます。継続して取り組むことで、引き締まった下半身を手に入れましょう。