数あるスクワットの中でもワイドスクワットは、足幅を広げて行うことで内転筋や大臀筋への刺激を高められるトレーニングです。股関節の外旋可動域を活用し、通常のスクワットでは鍛えにくい内ももやお尻の深層筋まで効率よくアプローチできます。
特に姿勢の安定性や骨盤の安定化にも関与し、下半身の筋力向上だけでなく、ヒップアップや脚痩せを目的としたボディメイクにも効果的です。この記事では、ワイドスクワットのやり方や効果、注意点まで詳しく解説します。
ワイドスクワットとは?

ワイドスクワットは、通常のスクワットよりも足幅を広く取り、つま先を外側に向けたスタンスで行うスクワットの一種です。内もも(内転筋)やお尻(大臀筋)など、特定の筋肉により強く刺激を与えることができ、脚痩せやヒップアップを目指す方におすすめのトレーニングです。
また、筋肉量の多い部位を鍛えることで、基礎代謝の向上や脂肪燃焼にも効果が期待できます。ここでは、基本のスクワットとの違いやワイドスクワットの特徴、メリットを詳しく解説します。
基本のスクワットとの違い
ワイドスクワットと基本のスクワットの最大の違いは、足幅とつま先の向きにあります。通常のスクワットでは、足は肩幅程度に開き、つま先は正面もしくはやや外側に向ける程度ですが、ワイドスクワットでは足幅を肩幅の1.5~2倍ほどに広げ、つま先を45度ほど外に向けます。この違いによって、鍛えられる筋肉や身体への負荷のかかり方が変化します。
基本のスクワットは、太ももの前側(大腿四頭筋)とお尻(大臀筋)をバランスよく鍛えることができるのに対し、ワイドスクワットは内もも(内転筋群)とお尻に特に強く効かせることができます。特に内ももは、日常生活ではあまり使われない筋肉であり、基本のスクワットでも刺激しづらい部位です。
また、フォームの安定性や可動域にも違いがあります。ワイドスクワットにすることで、重心が落としやすくなり、体幹を意識しながら深くしゃがむことができます。ただし、股関節の柔軟性が必要となるため、初心者は無理のない範囲からスタートすることが大切です。目的や鍛えたい部位に応じて、スクワットの種類を使い分けることで、より効果的なトレーニングが可能になります。
ワイドスクワットの特徴とメリット
ワイドスクワットの最大の特徴は、足を大きく開いて構えることにより、通常よりも内ももとお尻に刺激が集中する点です。これは、脚を外側に開くことで股関節の開きが大きくなり、自然と内転筋群が伸び縮みしやすくなるためです。特に、内ももを引き締めたい方やお尻を丸く持ち上げたい方にとって理想的なフォームといえます。
もう一つのメリットは、姿勢が安定しやすく、体幹をより使いやすくなることです。足を広げることで重心が下がり、腰や背中をまっすぐ保ちやすくなります。その結果、フォームのブレが減り、ケガのリスクを下げながら、しっかりと筋肉に効かせることができます。特に女性や筋トレ初心者でも取り組みやすいスタイルです。
さらに、可動域が広がることで関節の柔軟性向上にもつながります。深くしゃがみ込む動作は、股関節や膝関節の可動性を高め、日常生活の動作改善やケガ予防にも効果的です。加えて、スクワットにありがちな前腿への偏りを防ぎ、脚全体をバランスよく引き締められるといった利点もあります。
ワイドスクワットで鍛えられる部位と得られる効果

ワイドスクワットは、通常のスクワットよりも足を広く開くことで、下半身の特定部位に集中的な刺激を与えることができます。特に、日常生活ではあまり使われにくい内転筋や大きな筋肉である大臀筋に強く働きかけるため、脚やお尻の引き締めに効果的です。また、筋肉を増やすことで基礎代謝が向上し、ダイエットにも好影響を与えるのが特徴です。
以下では、ワイドスクワットがどこに効くのか、そして得られる具体的な効果について解説します。
内転筋への効果
ワイドスクワットの最大の特徴とも言えるのが、内転筋への高い刺激です。足を肩幅の1.5〜2倍に開き、つま先を外側に向けるワイドスタンスは、スクワット動作中に内転筋が伸び縮みする状態を自然に作り出します。この動きによって、内ももにしっかりと効かせることができます。
内転筋は、普段の歩行や階段の昇降などではあまり使われない筋肉です。そのため、脂肪がつきやすく、たるみやすい部位でもあります。特に女性にとって、内ももは「すき間を作りたい」「引き締めたい」と感じる部位でもあり、ワイドスクワットはぴったりのトレーニングです。
また、内転筋を鍛えることで、股関節の安定性が増し、膝や腰への負担軽減にもつながります。スポーツパフォーマンスの向上だけでなく、姿勢改善や歩行バランスの向上にも役立つため、年齢を問わず多くの人に取り入れてほしい筋肉群です。
短期間で目に見える効果が得られるわけではありませんが、継続することで確実に内ももは引き締まり、下半身全体のシルエットも美しくなります。
大臀筋への引き締め効果
ワイドスクワットはお尻の大きな筋肉である大臀筋にも強い刺激を与えるため、ヒップアップやお尻のたるみ解消に効果的です。足を外に開いてしゃがむ動作では、股関節の屈伸が深くなるため、大臀筋がしっかりと使われます。特に、しゃがんだ姿勢から立ち上がるときに、お尻に力を入れて押し上げることで、筋肉に効かせやすくなります。
大臀筋は体の中でも特に大きな筋肉であり、鍛えることで基礎代謝の向上にも寄与しますが、それ以上に目に見える変化が起こりやすい部位でもあります。垂れたお尻がキュッと上がるだけで、全体のスタイルが引き締まり、脚が長く見える効果も期待できます。
また、大臀筋は股関節の動きをサポートするため、腰痛の予防にもつながります。デスクワークや運動不足によって弱っている人も多いため、意識的に鍛えることで、腰回りの安定性を高めることができます。
ワイドスクワットでは、体をまっすぐに保ち、膝が内側に入らないように意識しながらお尻を後ろに引く動作を行うことがポイントです。正しいフォームを意識することで、より効率よく大臀筋を鍛えることができます。
代謝アップや脂肪燃焼によるダイエット効果
ワイドスクワットには、基礎代謝を高めて脂肪燃焼を促す効果も期待できます。これは、ワイドスクワットが大きな筋肉群(大臀筋、内転筋、大腿四頭筋など)を同時に使う、全身性の高いトレーニングであるためです。筋肉量が増えれば増えるほど、1日の消費エネルギーも高まり、太りにくい体質を作ることができます。
特に下半身には体全体の約6割以上の筋肉が集まっているとされており、ここを重点的に鍛えることで、効率的に代謝が上がります。ダイエットにおいては、単に体重を落とすのではなく痩せやすい体をつくることが重要ですが、ワイドスクワットはその基盤作りに最適です。
さらに、有酸素運動との組み合わせによって、より脂肪燃焼効果が高まります。例えば、ワイドスクワットをインターバルトレーニング形式で行ったり、セットの間にジャンプスクワットを挟むことで、心拍数を上げつつ筋肉にも刺激を与えることが可能です。
見た目の引き締めだけでなく、内臓脂肪の減少や血糖値の安定といった健康面への効果もあり、ワイドスクワットは美容・健康の両面で高いダイエット効果が期待できるトレーニングです。
ワイドスクワットの正しいやり方
ワイドスクワットは、見た目はシンプルながら、正しいフォームを意識しなければ効果が半減してしまうだけでなく、膝や腰に負担をかける可能性もあります。特に初心者は、動作の順序や筋肉の意識の仕方に注意して取り組むことが大切です。
ここでは、ワイドスクワットの基本的なやり方と正しい姿勢を保つためのポイントを解説します。
足幅は肩幅の約1.5~2倍に広げ、足先は外側に約45度向けます。膝がつま先の方向に自然と曲がるようにするのがポイントです。
背中が丸まらないように意識し、骨盤を立てて姿勢を正します。目線は正面を向き、体幹に軽く力を入れましょう。
バランスが不安定な場合は、両手を胸の前で組んだり、腰に当てても問題ありません。
お尻を斜め後ろに突き出すイメージで、ゆっくりと腰を下ろします。膝が内側に入らないよう注意しましょう。
股関節の柔軟性に応じて、できる範囲で深くしゃがみます。最終的には膝が90度に曲がる「パラレルスクワット」程度を目指すのが理想です。
つま先ではなく、足裏全体、特にかかとに重心を置いて押し上げます。膝が内側に入らないよう、最初の姿勢に戻るまで丁寧に動きます。
立ち上がる際に大臀筋を収縮させる意識を持つことで、お尻への負荷がしっかりとかかります。
筋トレ初心者は10~15回を1セットとして、2~3セットから始めるのが目安です。筋肉痛が残っている場合は無理をせず、週に2~3回の頻度で取り組みましょう。慣れてきたらダンベルやケトルベルなどのウエイトを取り入れて強度を上げるのもおすすめです
ワイドスクワットの効果を高めるコツと注意点

ワイドスクワットは正しいフォームで行えば高い効果が期待できる一方、少しの姿勢の乱れや意識の不足で、効かせたい筋肉に十分な刺激が伝わらなくなることもあります。特に筋トレ初心者は「とにかくしゃがむ」だけの動作に見えがちですが、実は細かな動きの工夫が重要です。
ここでは、ワイドスクワットの効果を最大限に引き出すために押さえておきたい4つのポイントを紹介します。
動作はゆっくりと行う
ワイドスクワットで効果を最大限に高めたい場合、動作のスピードはゆっくりが基本です。特にしゃがむときのネガティブ動作(筋肉が伸びる動作)を丁寧に行うことで、筋肉への負荷が増し、引き締め効果が高まります。勢いよくしゃがんだり立ち上がったりする動作は、筋肉ではなく関節や反動を使ってしまい、トレーニング効果が薄れてしまうだけでなく、ケガのリスクも高まります。
具体的には、3秒でしゃがみ、1秒で立ち上がる程度のペースを目安にするとよいでしょう。このテンポで行うことで、筋肉にじっくりと刺激を与えることができ、見た目の変化だけでなく持久力や筋持久性の向上にもつながります。
また、スローな動作はフォームを崩しにくく、初心者にとって正しい動きを習得しやすいというメリットもあります。最初は違和感があっても、継続することで身体の使い方に自然と慣れてくるはずです。
呼吸を意識して動作する
トレーニング中の呼吸は軽視されがちですが、筋力発揮や姿勢の安定において極めて重要です。ワイドスクワットを行う際は、しゃがむときに息を吸い、立ち上がるときに息を吐くというリズムを基本としましょう。この呼吸法により腹圧(お腹の内側の圧力)が高まり、体幹が安定し、フォームの崩れや腰への負担を防ぎやすくなります。
呼吸が浅かったり止まっていたりすると、必要以上に肩や首に力が入ってしまい、全身のバランスが崩れがちになります。また、腹筋や背筋の働きが不十分になることで、せっかくのスクワットの効果も半減してしまいます。
特にしゃがんだときは体が縮こまりやすく息を止めがちなので、意識的に呼吸を行いましょう。深く吸って、胸やお腹をしっかり広げるイメージで呼吸をすることで、筋肉への酸素供給もスムーズになり、疲れにくくなります。
ワイドスクワットでは、動作と呼吸を連動させることで、より効果的に筋肉を働かせることができます。習慣化するには最初は難しく感じるかもしれませんが、フォームと同じくらい呼吸も鍛えるという意識が大切です。
肩甲骨を寄せて胸を張る
正しい姿勢を維持するためには、肩甲骨を寄せて胸を張ることも重要です。背中を丸めた状態でスクワットを行うと、重心が前に移動してしまい、膝や腰に余計な負担がかかります。これは腰痛やフォームの崩れの原因となり、下半身にかけるべき負荷も逃がしてしまうことになります。
ワイドスクワットでは、胸を開いて背筋を伸ばした状態を保つことで、下半身に効率的に力を伝えることができます。そのためには、肩甲骨を軽く背中側に寄せるように意識するようにしましょう。肩を下げてリラックスさせつつ、胸をやや前方に押し出すような姿勢を保つと、自然と体幹が安定します。
この姿勢を保つことで、骨盤の位置も正しく整いやすくなり、スクワット動作中のバランスが取りやすくなります。特に、ウエイトを持たない自重スクワットでも、この姿勢を習得しておくことで、将来的にダンベルやバーベルを使った応用トレーニングへの移行もスムーズになります。
鍛える筋肉を意識する
ワイドスクワットを行う際は、鍛える筋肉を意識して動かすことも大切になります。これは「マインド・マッスル・コネクション(筋肉との意識的なつながり)」と呼ばれる考え方で、筋トレの質を大きく左右する要素の一つです。
ワイドスクワットの場合は、内転筋と大臀筋をメインターゲットとして意識するのがポイントです。しゃがむ際には内ももが伸びていく感覚、立ち上がる際にはお尻の筋肉をぎゅっと締める感覚を意識すると、より効果的に刺激が入ります。
意識が薄いと、重心が前に流れて太ももの前側である大腿四頭筋ばかりに効いてしまい、狙った部位が鍛えられにくくなります。例えば、内ももを引き寄せるように力を入れる、立ち上がるときにお尻を締めるといったイメージトレーニングを取り入れることで、筋肉の使い方に変化が生まれます。
また、動作中に鍛えている部位を触れて確認する「タッチ法」も有効です。自分の意識がどこに向いているかをチェックしながらトレーニングすることで、より深い筋肉へのアプローチが可能になります。
負荷を高めたワイドスクワット
ワイドスクワットに慣れてきたら、より筋力アップや引き締め効果を狙って負荷を高めたバリエーションにチャレンジするのがおすすめです。特に、ダンベルやバーベルを使ったワイドスクワットは、下半身だけでなく体幹や握力など全身の筋力向上にもつながります。
フォームを崩さないことが前提となりますが、負荷を加えることで筋肉への刺激が一段と増し、短期間でのボディメイク効果も期待できます。ここでは、代表的な2つの負荷ありのワイドスクワットを紹介します。
ダンベルワイドスクワット

ダンベルワイドスクワットは、自重トレーニングより一段階負荷を高めたいときに最適なバリエーションです。両手または片手でダンベルを持ち、基本のワイドスタンスでスクワットを行うことで、内転筋・大臀筋への刺激がより強まります。特に下半身の引き締めやヒップアップを狙いたい女性や全身の筋力をバランスよく高めたい人に適しています。
ダンベルの持ち方には主に2通りあります。1つは両手でダンベルを下げて持つ「ゴブレットスタイル」、もう1つは両手にそれぞれダンベルを持って体側にぶら下げる「サイドホールド」です。初心者にはゴブレットスタイルの方がフォームを安定させやすいためおすすめです。
ダンベルの重さは、フォームを崩さずに10~15回行える重量を目安に選びましょう。一般的には女性で6~10kg、男性で10~20kg程度からスタートするとのが最適です。しゃがむときは肘を軽く内ももに近づけるようにすると、自然と深く腰を落とすことができ、可動域を広げられます。
注意点として、ダンベルの重さに引っ張られて背中が丸くなりやすいため、常に肩甲骨を寄せて胸を張る意識を持ちましょう。また、足裏全体で床を押すことで、膝や腰への負担を最小限に抑えつつ、安全かつ効果的なトレーニングが可能になります。

バーベルワイドスクワット

より本格的に下半身の筋力を高めたい場合は、バーベルを使ったワイドスクワットに挑戦するのも効果的です。バーベルはダンベルよりも重量の調整幅が広く、脚・お尻・体幹に強い負荷をかけることができるため、筋肥大やパフォーマンス向上を目指す人に最適な種目です。
バーベルワイドスクワットでは、まずラックにセットされたバーベルを肩の上に担ぎます(ローバーまたはハイバーどちらでも可)。その状態でワイドスタンスを取り、通常のスクワットと同様にしゃがんで立ち上がる動作を行います。足幅は肩幅の1.5~2倍程度、つま先は外側に45度ほど開くのが基本です。
バーベルワイドスクワットの特徴は、全身の安定性と柔軟性が求められる点です。バーベルの重量が増すほど、姿勢の崩れや関節への負荷も大きくなるため、正しいフォームの習得が最優先となります。特に股関節の可動域や背中をまっすぐ保つ体幹の力が不可欠です。
使用する重量の目安としては、初心者は体重の60~80%程度(例:体重60kgなら40~50kg)から始め、フォームを確認しながら徐々に増やすのが安全です。トレーニングベルトの着用やスポッター(補助者)の配置も安全性を高めるために有効です。
バーベルワイドスクワットはフォームが安定していれば、筋力強化だけでなく脂肪燃焼にも非常に効果的な全身運動です。正確なフォームと安全対策を徹底し、段階的に負荷を高めていきましょう。

ワイドスクワットのQ&A
- ワイドスクワットはどれくらいの深さまでしゃがめばいいですか?
-
膝が90度になる程度(太ももが床と平行)までしゃがむのが理想です。ただし、股関節や膝の柔軟性に応じて、無理のない範囲で行いましょう。
- ワイドスクワットとノーマルスクワットはどちらが効果的ですか?
-
目的によって異なり、内ももやお尻を重点的に鍛えたい場合はワイドスクワット、前ももやバランスを重視する場合はノーマルスクワットが適しています。
ワイドスクワットで下半身を効率的に鍛えよう

ワイドスクワットは、内ももやお尻に集中的な刺激を与えられる優れたトレーニングです。正しいフォームと呼吸、筋肉の意識を持って行えば、脚痩せやヒップアップ、代謝向上によるダイエット効果まで期待できます。
さらに、ダンベルやバーベルを活用すれば、強度を高めて短期間での成果も目指せます。自分のレベルに合ったやり方で無理なく継続していくことが成功のカギです。日々の習慣にワイドスクワットを取り入れて、理想のボディラインを手に入れましょう。