オリーブオイルには様々な種類がありますが、具体的にどんな違いがあるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。そこでこの記事では、オリーブオイルとエクストラバージンの違いやオリーブオイルの種類についても解説していきます。
オリーブオイルとエクストラバージンの違いを知ることで用途に合わせた使い分けをすることができます。ぜひ参考にして、自分に合ったオリーブオイルの種類を見つけてください。
オリーブオイルは大きく分けて4種類

オリーブオイルは大きく分けて、バージンオリーブオイル・リファイン(精製)オリーブオイル・ピュアオリーブオイル・オリーブポマースオイルの4種類があります。それぞれの違いは、製法と品質基準です。以下で詳しく解説していきます。
バージンオリーブオイル
バージンオリーブオイルは、オリーブの実を圧搾や遠心分離などによって抽出し、化学的な精製を行っていないオイルです。オリーブ本来の風味や香り、そしてポリフェノールなどの成分が残りやすいという特徴があります。酸度や風味の欠点の有無によって「エクストラバージン」「バージン」「オーディナリーバージン」「ランパンテバージン」の4ランクに区分されます。
その中でも特に高品質とされているのがエクストラバージンオリーブオイルで、酸度が低く、官能検査における味や香りの評価も欠点がないと認められた最高ランクのものです。その分、バージンオリーブオイルよりも高価格帯になりやすい傾向にあります。ただし、このランクは国際基準(IOC規格)のものであり、日本で販売されているエクストラバージンオリーブオイルの中には国際基準を満たしていないものもあるので注意が必要です。
バージンオリーブオイルの種類 | 酸度 | 特徴 |
---|---|---|
エクストラバージン | 0.8%以下 | 風味や香りに欠陥がない最高品質のオイル。食用として利用される。 |
バージン | 2%以下 | 良好な風味と香りを持つオイル。食用として利用される。 |
オーディナリーバージン | 3.3%以下 | 風味や香りに若干の欠陥があるオイル。販売国の規定によっては食用になる場合もありますが、精製に利用される場合も多い。 |
ランパンテバージン | 3.3%以上 | 酸度が3.3%以上もしくは風味や香りに明らかな欠陥があるオイル。それ自体で食用には適しておらず、精製または工業用途向け。 |
リファイン(精製)オリーブオイル
リファイン(精製)オリーブオイルは、主に化学的な処理を加えてオリーブの味や香りのクセを取り除いたオイルです。オリーブ自体が持つ独特の苦味や強い香りが苦手な方や、比較的安価で大量に使いたい方に向いているタイプといえます。バージンオリーブオイルほどフルーティーさは感じられず、風味もごく穏やかですが、その分さまざまな料理に合わせやすいという利点があります。
精製工程を行う理由は、オリーブの実の品質にばらつきがあったり、すでに酸化が進んでしまった実を使っている場合もあります。味や香りに問題がある原料でも、精製工程を丁寧に行うことでクセを抑え、酸度を一定以下に調整できます。健康や美容を目的としてオリーブオイルを使う場合、ポリフェノールなどの有用成分はバージンオリーブオイルに比べて少なくなりますが、酸化を気にせず長めに使いやすいメリットがあります。
ピュアオリーブオイル
ピュアオリーブオイルは精製オリーブオイルをベースに、バージンオリーブオイルを少しブレンドしたものです。メーカーや商品によって、バージンオリーブオイルの配合比率が異なるため、風味や香りもやや変わってきます。
実際に使う場面としては、「クセが少ないほうが良いけれど、ほんのりとオリーブの風味を感じたい」というときに向いています。もちろん価格帯も比較的手ごろで、加熱調理にも生食にも利用できるので、使い勝手のいいタイプといえます。
一方で、オリーブの香りが好きな方やポリフェノール量が多いものを求める方は、エクストラバージンオリーブオイルやバージンオリーブオイルがおすすめです。
オリーブポマースオイル
オリーブポマースオイルは、オリーブの搾りかす(ポマース)に残った油分を溶剤で抽出し、さらに精製したオイルです。「クルードオリーブポマースオイル」「リファインオリーブポマースオイル」「オリーブポマースオイル」の3つに分類され、以下の表のような特徴があります。
オリーブポマースオイルの種類 | 酸度 | 特徴 |
---|---|---|
クルードオリーブポマースオイル | – | 精製前のオイルで、食用には適しておらず、精製または工業用途向け。 |
リファインオリーブポマースオイル | 0.3%以下 | クルードオリーブポマースオイルを精製して得られるオイル。食用として利用される場合もある。 |
オリーブポマースオイル | 1%以下 | 精製オリーブポマースオイルとバージンオリーブオイルをブレンドしたもの。食用として利用される場合もありますが「オリーブオイル」と表記はできない。 |
一般的には料理店や製菓・製パン業界などで大量に使われる場合が多く、価格が安価であるという点が特徴です。バージンオリーブオイルとブレンドして味わいを調整する商品もありますが、精製工程をしっかり行うため、オリーブ特有の風味はほとんど残りません。
オリーブオイルとエクストラバージンオイルの違い

オリーブオイルは大きく分けて4種類あり、その中でも特に高品質なものがエクストラバージンオリーブオイルです。ここでは一般的なオリーブオイルとエクストラバージンオリーブオイルの違いについて、製法・品質・味わい・栄養面の4つに分けて解説していきます。
製法による違い
オリーブオイルの製法には、物理的な抽出と化学的な抽出の2つがあります。エクストラバージンオリーブオイルはオリーブの実を圧搾や遠心分離で搾る物理的な抽出によって製造されています。搾油までの時間や温度管理など、細心の注意を払うことで風味や香り、栄養をできるだけ損なわないように配慮されています。
一方、普通のオリーブオイルは精製工程を経ているものが多く、溶剤や熱処理を行って不純物やクセを取り除きます。そのため、エクストラバージンと比べると、元のオリーブの品質に左右されにくく、香りもマイルドに仕上がります。
品質による違い
エクストラバージンは、酸度が0.8%以下であることが一つの目安とされます。さらに、国際オリーブ協会(IOC)の基準では、味や香りに欠点がないことも必須条件です。つまり、エクストラバージンと名乗るためには、オリーブの収穫から搾油、ボトリングまで厳しい品質管理が行われる必要があります。
普通のオリーブオイルの場合は、エクストラバージンほど厳格な基準は設けられていません。そのため、エクストラバージンオリーブオイルと比較すると品質は低く、商品によっては他の油が混ぜられているものやかなり劣化したオリーブが使用されているものもあります。しかし、手軽にスーパーなどで手に入りやすく、クセがないので調理油として揚げ物や炒め物などに使う際には適しています。
味わいや香りの違い
エクストラバージンオリーブオイルは、製法・品質ともに繊細な管理が行われているぶん、オリーブの実本来の風味や香りが強く残っているのが魅力です。青々しい草のような香りやフルーティーな香り、飲み込んだあとに軽い辛味や苦味を感じることができます。これはオリーブの品種や収穫時期、栽培環境によっても変化し、ワインのように風味を楽しめます。
一方、普通のオリーブオイルは味や香りが控えめで、オリーブ独特のクセが少ないものが多いです。揚げ物や炒め物など、他の食材や調味料の風味を活かしたいときには、むしろクセの少ないほうが使いやすい場面があります。味わいや香りを主役にしたい料理ならエクストラバージンを使い、素材の味を立てたい場合や、コストを抑えたい場合は普通のオリーブオイルにする、といった使い分けができます。
栄養成分の違い
オリーブオイル全般に多く含まれるのが、オレイン酸という不飽和脂肪酸です。これは悪玉コレステロールを抑える効果があるといわれており、他の動物性脂肪に比べて健康的な脂肪です。さらに、エクストラバージンオリーブオイルは精製が行われていないため、ポリフェノールやビタミンEなどの抗酸化成分が比較的豊富に残っている点も特徴になります。
普通のオリーブオイルでもオレイン酸は摂取できますが、精製工程で一部の微量栄養素が失われている可能性があります。だからこそ、美容や健康への効果を重視するなら、エクストラバージンのほうが向いているといわれます。ただし、オリーブオイル自体が高カロリーであることに変わりはありません。たとえエクストラバージンであっても、過剰に摂取すれば肥満や生活習慣病のリスクが高まるので、適切な量を守るのが大切です。
オリーブオイルとエクストラバージンの使い分け方

エクストラバージンオリーブオイルと普通のオリーブオイルには、それぞれの強みがあります。ここでは、加熱調理と生食の2つのシーンに分けて、上手な使い分けのコツを紹介します。
加熱調理による使い分け
加熱調理に向いているのは、精製オリーブオイルやピュアオリーブオイルといった一般的なオリーブオイルです。クセが少ないので食材や調味料の味を邪魔することなく、揚げ物や炒め物といった高温調理に活用することができます。また、エクストラバージンと比較して安価のため、日常的に使いやすいといったメリットもあります。
一方で、エクストラバージンオリーブオイルは、加熱調理に使えますが、高温になるほど風味が飛んでしまったり、せっかくの栄養素が失われてしまったりします。エクストラバージンは高価なうえに風味を楽しむのがメインとなるため、加熱調理に使用しないのが一般的です。ただ、料理の仕上げとしてエクストラバージンを活用するのはおすすめで、最後にひと回しかけるだけでも料理をワンランクアップさせることができます。
生で食べる際の使い分け
サラダにかけたり、パンにつけたり、あるいはパスタなどの仕上げとしてかける場合は、エクストラバージンオリーブオイルがおすすめです。フレッシュな香りやオリーブの旨みを存分に楽しむことができ、料理や食材との組み合わせで様々な味わいを堪能できるのも魅力になります。また、生で食べる際には栄養的にも優れているので、健康のためにエクストラバージンオリーブオイルを取り入れる際は、生で食べるのが最適です。
とはいえ、エクストラバージンの青い香りやほろ苦さが苦手という方は、ピュアオリーブオイルを生食に使うという選択肢もあります。ピュアオリーブオイルは風味が穏やかなので、オリーブのクセを強く感じることなく、ほんのりとした風味だけを楽しめます。

オリーブオイルとエクストラバージンのQ&A
- エクストラバージンオリーブオイルは揚げ物に使ってもいいですか?
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揚げ物に使うこと自体は問題ありませんが、せっかくのフレッシュな香りや栄養成分が高温で失われてしまいます。また、コストも高くなるので、揚げ物の際は精製オリーブオイルやピュアオリーブオイルがおすすめです。香りを楽しみたいときは、生食もしくは、加熱は控えめにしてサッと仕上げにかけるようにしましょう。
- オリーブオイルとエクストラバージンオリーブオイルの違いは何ですか?
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品質や製法、味わいなどに大きな違いがあります。オリーブオイルの中でも特に高品質とされているのが、エクストラバージンオリーブオイルです。
- オリーブオイルとエクストラバージンオリーブオイルは味に違いがありますか?
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オリーブオイルはクセが少なく、オリーブの香りはそこまでありません。一方で、エクストラバージンオリーブオイルはクセがあるものの、オリーブ本来のフレッシュさやフルーティーさ、辛味、苦味などを楽しむことができます。
- エクストラバージンオリーブオイルはなぜ高いのですか?
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エクストラバージンオリーブオイルは収穫から搾油までを短時間で行う必要があり、手間と時間がかかるため価格も高くなっています。その分、風味や栄養素は通常のオリーブオイルよりも優れています。
オリーブオイルとエクストラバージンの違いを知って使い分けよう

ここまでオリーブオイルとエクストラバージンの違い、オリーブオイルの種類について解説してきました。オリーブオイルそれぞれに特徴があり、おすすめの用途も変わってきます。オリーブ本来の味わいを楽しみたいのか、日常的に使えるオリーブオイルがいいのかなど、目的に合ったオリーブオイルを活用することで失敗を減らせます。
ぜひ今回解説したオリーブオイルとエクストラバージンの違いを参考に、自分に合ったオリーブオイルを活用してみてください。