オリーブオイルの品質を大きく左右する要素のひとつが「抽出温度」です。特に注目されているのが、27度以下で抽出される「低温圧縮(コールドプレス)」製法。熱を加えずに搾油することで、オリーブに含まれるポリフェノールやオレイン酸、ビタミンEといった有用成分を損なうことなく保持できる点が特徴です。
この記事では、低温圧縮の特徴や選び方のポイント、おすすめ商品5選まで徹底解説します。
低温圧縮(コールドプレス)とは?

オリーブオイルの品質や栄養価を大きく左右するのが、抽出時の温度です。その中でも「低温圧縮(コールドプレス)」は、27℃以下という厳格な温度管理のもと、オリーブの果実を加熱せずに圧搾する製法を指します。
この製法は国際オリーブ協会(IOC)やEUの品質基準でも明記されており、品質の高いオリーブオイルの証でもあります。ここでは、低温圧縮とは何か、通常の製法との違い、そして期待されるメリットについて詳しく解説します。
低温圧縮は27度以下で抽出
低温圧縮(コールドプレス)とは、27℃以下という温度で機械的にオリーブオイルを搾る製法を指します。これは国際オリーブ協会(IOC)やEU規格においても明文化されており、「cold extracted」「cold pressed」の表記が可能となる条件でもあります。抽出温度が低いことで、オリーブの持つ香り成分や栄養素の損失を最小限に抑えることができるのが大きな特徴です。
なぜ27℃以下が重要になるのかというと、加熱によって酸化や栄養素の分解が進むからです。特にポリフェノールやオレイン酸、ビタミンEといった成分は熱に弱いため、高温抽出ではその含有量が大きく低下する恐れがあります。
同じエクストラバージンオリーブオイルでも、低温圧縮とそうでないものとでは、香りの立ち方や舌触り、後味に明確な違いが出ます。自然なグリーンの風味や苦味、フルーティーさを楽しむには、低温圧縮が最適です。
低温圧縮と一般的なオリーブオイルの違い
低温圧縮と一般的なオリーブオイルの最大の違いは、抽出温度と製法にあります。低温圧縮では27℃以下の温度で機械的に油分を搾り取るのに対し、一般的なオリーブオイル(特にピュアオイルや精製オイル)は、加熱や化学処理を伴う抽出工程を経ることが多く、風味や栄養素が大きく損なわれる傾向にあります。
この違いがもたらす影響は非常に大きく、まず風味の点で明確な差が生まれます。低温圧縮では果実本来の青々とした香りや辛味が残りやすく、テイスティングでその個性がしっかり感じられます。一方、高温や化学処理を伴う精製オイルは、風味が淡白でオリーブ本来の味わいが感じにくくなります。
栄養価においても同様で、低温圧縮はポリフェノールやトコフェロール(ビタミンE)など、抗酸化作用を持つ成分の損失が少ないのが特徴です。これは、健康効果を期待する方にとって大きな利点です。
低温圧縮は味わい・香り・栄養のすべてにおいて、より「ナチュラル」で「高品質」なオリーブオイルを求める方に最適な選択肢といえます。
低温圧縮のメリット
低温圧縮製法によるオリーブオイルの最大のメリットは、「栄養素の保持率」と「風味の鮮烈さ」にあります。加熱処理を避けることで、オリーブが本来持つ有用成分が壊れにくくなります。
オレイン酸やビタミンE、ポリフェノールなどは熱に弱く、一般的な高温抽出では含有量が減少します。これに対して低温圧縮では、これらの機能性成分が豊富に保たれ、健康効果も期待できます。
さらに、香りと風味の点でも圧倒的な優位性があります。オリーブの品種や収穫時期の個性が色濃く残り、テイスティングでは「青りんごのような香り」「心地よい苦味」「爽やかな後味」などが感じ取れることもあります。これは、料理に使う際にも大きな差となり、生食用としての価値が一層高まります。
低温圧縮オリーブオイルは、ただのオイルではなく、「素材としての完成度が高い」食品であり、味覚と栄養の両面から生活の質を高める存在だといえます。
参考:国際オリーブ協会
低温圧縮オリーブオイルの選び方

市場に出回るオリーブオイルの中でも、低温圧縮製法にこだわった製品は一部に限られています。しかし、それだけに正しい見分け方を知ることが、良質な一本と出会うためには重要です。特に注目したいのが「エクストラバージン」の表記、有機認証や原産地の信頼性、そして用途に応じた選定です。
これらを理解しておくことで、自分のライフスタイルや健康目的に合った最適なオイルを選ぶことができます。ここでは、失敗しないための選び方のコツを3つの観点から解説します。
エクストラバージンの表記をチェック
低温圧縮オリーブオイルを選ぶ際には、「エクストラバージン」の表記を必ず確認しましょう。この表記はオリーブオイルの中でも最も品質が高く、かつ化学処理や精製を行っていないことを意味します。国際オリーブ協会(IOC)の基準では、エクストラバージンオリーブオイルは酸度0.8%以下で、かつ官能検査で欠点がないものにのみ認定されます。
このような基準を満たしたエクストラバージンオイルは、低温圧縮と組み合わさることで、より一層香り・風味・栄養価を保持しやすくなります。中には「エクストラバージン」と名乗りながら、実際には精製された油がブレンドされている商品もあるため、信頼できる製造元・ラベルの明記・酸度表示の有無などを併せてチェックすることが重要です。
たとえば、イタリア産のエクストラバージンオイルで「cold extracted」「酸度0.3%以下」などと記載されている商品は、品質へのこだわりが明確で安心できます。
原産地とオーガニック認証をチェック
品質の高い低温圧縮オリーブオイルを選ぶには、「どこで作られたか」と「どう作られたか」を見極めることが大切です。特に原産地はその土地の気候・土壌・品種の影響を受けやすく、味わいや香りに大きな違いを生みます。イタリア、スペイン、ギリシャなどの地中海沿岸地域は、古来から高品質オリーブオイルの名産地として知られており、特にEUのPDO(原産地名称保護)認証を受けた製品は信頼度が高いです。
一方で、オーガニック認証(有機JAS、EUオーガニックなど)の有無も注目ポイントです。無農薬・化学肥料不使用で栽培されたオリーブから搾られるオイルは、環境にも体にもやさしく、健康志向の高い方に特におすすめです。
例えば、スペインのアンダルシア地方で採れたオーガニックオリーブを使用し、EUの有機認証を取得している商品であれば、その透明性と品質管理は非常に高いといえるでしょう。
原産地とオーガニック認証のチェックは、「どんな環境で育ち、どのような基準で作られたのか」を知る手がかりになり、本物のオリーブオイルを見極めるための重要な判断材料です。
用途に合わせて選ぶ
低温圧縮オリーブオイルは高品質であるがゆえに、用途に応じた選び方が重要です。というのも、料理の仕上げや生食用として楽しむ場合と、加熱調理で使用する場合とでは、求める風味やコストパフォーマンスが異なります。
例えば、香り高く風味が繊細なものはサラダやカルパッチョにそのままかけて使う「生食用」に最適です。これに対して、炒め物や煮込みに使うなら、クセが少なくコスパに優れたタイプを選ぶのが現実的です。また、パンにつける場合はフルーティーでやや辛味のあるタイプが合いますし、ギフトや贈答用には見た目の高級感やブランド性も加味するのが最適といえます。
さらに最近では、「美容・健康目的で毎朝スプーン1杯摂取したい」という方も増えており、その場合には酸度が低く、ポリフェノール含有量が高いオイルが適しています。
このように、低温圧縮オリーブオイルは万能である一方、使い方によって最適な商品は異なります。目的に合わせて選ぶことで、無駄なくその品質と効果を最大限に引き出すことができます。
低温圧縮オリーブオイルのおすすめ5選
市場にはさまざまなオリーブオイルが流通していますが、「低温圧縮(コールドプレス)」製法にこだわった製品は限られており、選ぶ際には確かな目利きが求められます。
ここでは、27℃以下で搾油された本格派の低温圧縮オリーブオイルの中から、品質・風味・安全性のバランスに優れたおすすめ商品を5つ厳選しました。エクストラバージン認証や原産地、オーガニック認証などのポイントも踏まえながら紹介していきます。
OLIVE JAPAN®2023年金賞受賞!egregio(エグレヒオ)
容量 | 500ml |
品種 | オヒブランカ、ピクアル |
原産国 | スペイン |
酸度 | 0.3% |
ヨーロッパ(EU)の有機農業規則に沿って生産されたことを証明するEUオーガニック認証が付与された安心して利用できるエクストラバージンオリーブオイル。OLIVE JAPAN®2023年で金賞を受賞し、品質はお墨付き。
コールドプレス製法で搾油されているので、鮮度・味わい共に最大限に引き出されています。また、オシャレなデザインのボトルは酸化の原因となる光を通さず、新鮮さをキープする設計になっています。
オヒブランカとピクアルの2つの品種をブレンドした、フレッシュかつピリッと刺激的な味わい。スパイシーさの中にフルーティーさも感じられ、複雑でありながらもバランスよくまとまっています。
サラダやフレッシュチーズ、グリル料理の仕上げにもピッタリです。
OLIVE JAPAN®2023年金賞受賞! GOYA(ゴヤ)UNICO
容量 | 500ml |
品種 | オヒブランカ、ピクーダ |
原産国 | スペイン |
酸度 | 0.4%以下 |
スペイン産オヒブランカオリーブとピクーダオリーブを使用したエクストラバージンオリーブオイル。収穫後は1時間以内にコールドプレス製法によって搾油し、瓶詰め時には窒素を入れることで酸素による酸化を防止しています。
OLIVE JAPAN®2023年では金賞を受賞し、高い品質とコストパフォーマンスが特徴です。
新鮮なハーブを想起させる香りとフルーティーさの中にかすかな苦味と辛味を感じる味わい。バランスのとれた優しい味を求める方にピッタリ。
サラダやトースト、カルパッチョ、スモーク料理との相性◎。
OLIVE JAPAN®2023年金賞受賞!Cobram Estate(コブラム・エステート)ウルトラプレミアム ピクアル
容量 | 500ml |
品種 | ピクアル |
原産国 | オーストラリア |
酸度 | 表記無し |
OLIVE JAPAN®国際オリーブオイルコンテスト2023年で金賞を受賞。オーストラリアの広大な大地で育てられたオリーブを使用した、オーストラリアを代表する1本。
コブラムエステートの中でも上位に位置するウルトラプレミアムシリーズは収穫から搾油までたったの1時間。搾油はコールドプレス製法によって行われるので、香りも鮮度もキープ。
フレッシュな香りとフルーティーさを持ち合わせ、適度な苦味が特徴です。サラダはもちろんのこと、生ハムやローストポークとの相性も◎。
OLIVE JAPAN®2023年金賞受賞!ORO BAILEN PICUAL(オロ・バイレン・ピクアル)
容量 | 500ml |
品種 | ピクアル |
原産国 | スペイン |
酸度 | 0.1%以下 |
スペインアンダルシア州の土地で育てられた高品質オリーブで作る「ORO BAILEN PICUAL」。スペイン国内で最高の評価を受けるエクストラバージンオリーブオイルで、その品質はスペイン王室御用達になるほど。
たったの2時間で収穫からコールドプレス製法による搾油、真空貯蔵までを行っています。
フルーティーな香りとオリーブのフレッシュさ、苦味と辛味を程よく感じる濃厚な味わい。サラダやチーズ、カルパッチョなど、様々な料理と相性抜群。
醬油と合わせて簡単ドレッシングを作るのもおすすめです。
世界的なオーガニック展覧会で最優秀賞受賞!LORENZO(ロレンツォ)No.5
容量 | 500ml |
品種 | ノチェッラーラ |
原産国 | イタリア |
酸度 | 0.15% |
世界的なオーガニック展覧会ビオファで最優秀賞を受賞するなど、様々な賞の受賞実績のあるエクストラバージンオリーブオイル。有機栽培で育てられたオリーブを収穫から12時間以内に搾油することで新鮮さをキープしています。
LORENZONo.5は搾油前に種をすべて除去する方法で作られ、種のえぐみや雑味を抑えることでクリーミーで柔らかな味わいに。
苦味や辛味が苦手な方でも利用しやすく、パンやサラダはもちろんのこと、魚料理、クリーム料理との相性も抜群です。

低温圧縮オリーブオイルの使い方と注意点

せっかく高品質な低温圧縮オリーブオイルを選んでも、その特性を活かしきれなければもったいないといえます。低温で抽出されたオリーブオイルは、豊かな香りや栄養成分をそのまま保持しているため、適切な使い方をすることでその価値を最大限に引き出すことができます。
ここでは、風味や栄養を損なわずに楽しむためのおすすめの使い方と、劣化を防ぐための保存方法について詳しく解説します。
低温圧縮オリーブオイルのおすすめの使い方
低温圧縮オリーブオイルは、その繊細な風味と栄養価の高さから、加熱せずに「生」で楽しむ使い方が最も推奨されます。というのも、27℃以下で搾油されたこのオイルは、ポリフェノールやビタミンEなどの熱に弱い成分が豊富に残っており、加熱調理に用いるとそれらが壊れてしまう恐れがあるからです。
おすすめの使い方としては、まずはサラダやカルパッチョにそのままかける方法です。野菜や魚介の風味を邪魔せず、むしろ引き立てる香りと味わいを楽しめます。また、パンにディップして味わうのも人気の使い方で、バターやマーガリンの代替として取り入れると、よりヘルシーに風味を味わえます。
さらに、冷製パスタやスープの仕上げにひとたらしすることで、料理全体の香りを格上げできます。特にオリーブの品種や産地によって異なるフルーティーさやスパイシーさが感じられるため、料理ごとにオイルを使い分けるのも楽しいポイントです。
このように、低温圧縮オリーブオイルは加熱せずに使うことで、本来の風味と機能性成分を最大限に活かせます。毎日の食卓に、ほんの少しの工夫を加えるだけで、健康と美味しさの両立が可能になります。
低温圧縮オリーブオイルの保存方法
低温圧縮オリーブオイルの品質を長く保つためには、保存方法に細心の注意を払う必要があります。低温圧縮オリーブオイルは熱や光、酸素に非常に敏感で、劣化が進むと酸化臭や味の変化、栄養価の低下といった問題が生じやすいという特徴があります。
まず基本となるのは、直射日光を避けて冷暗所に保管することです。光によってポリフェノールやクロロフィルなどが分解され、風味や栄養素が損なわれる恐れがあります。そのため、多くの高品質なオイルは遮光瓶に入っていますが、購入後も冷暗所(冷蔵庫ではなく常温の涼しい場所)に保管するのが理想です。
次に、開封後はなるべく早く使い切ることが大切です。酸素に触れることで酸化が進むため、開封後3〜4ヶ月以内を目安に消費するのが望ましいとされています。また、使用時は注ぎ口に触れた手や調理器具から雑菌が混入しないように注意し、衛生面にも配慮しましょう。
保存中にオイルが固まったり白濁したりすることがありますが、これは低温下で自然に起こる現象で、品質には影響ありません。室温に戻せば元の状態に戻ります。
このように、保存環境を整えることで、低温圧縮オリーブオイルの本来の味や健康効果を長く保つことができます。良質なオイルこそ、丁寧に扱いながらじっくりと楽しむことが大切です。
低温圧縮オリーブオイルに関するQ&A
- 低温圧縮オリーブオイルとは何ですか?
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低温圧縮オリーブオイルとは、27℃以下の温度で機械的に搾油されたオリーブオイルのことです。栄養素や香りを損なわずに抽出できるため、風味が豊かなのが特徴です。
- コールドプレスとエクストラバージンは同じ意味ですか?
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異なります。コールドプレスは搾油時の温度(27℃以下)を指し、エクストラバージンは酸度や風味など品質基準を満たしたオイルを意味します。両方の条件を満たすことで、より高品質なオイルといえます。
- 低温圧縮オリーブオイルは加熱しても大丈夫ですか?
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加熱調理にも使用できますが、風味や栄養成分を損なう恐れがあるため、サラダやパンなど生食での使用が最も推奨されます。
- 低温圧縮オイルはなぜ高価なのですか?
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温度管理や製法に手間がかかる上、1回の圧搾で得られるオイル量が少ないためです。栄養価と風味の質も高いため、価格に反映されています。
- 低温圧縮オリーブオイルはどのような人におすすめですか?
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健康志向の方、美容を意識する方、素材の味を大切にしたい方におすすめです。オーガニックや無添加志向の人にも好まれています。
低温圧縮オリーブオイルで毎日の健康と美味しさを手に入れよう

低温圧縮(コールドプレス)製法で抽出されたオリーブオイルは、風味や栄養素を損なわずに保持した高品質なオイルです。選ぶ際は、エクストラバージンの表記や原産地、オーガニック認証をチェックし、用途に合った1本を見つけることが大切です。
生食を中心に取り入れることで、健康効果と豊かな味わいを最大限に活かせます。日々の食卓に本物の一滴を加えて、食事の質と生活の質を高めていきましょう。