本物のオリーブオイルの見分け方|偽物といわれる理由について解説

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オリーブオイル

オリーブオイルは特徴的な風味や使い勝手の良さ、健康の観点から、とても人気の高い油のひとつです。特にエクストラバージンオリーブオイルは、他のオリーブオイルよりも質のいいことが知られています。しかし、「エクストラバージン」と記載されていても、本当にそうであるか疑わしい商品が存在するという指摘があるのが事実です。

そこで本記事では、オリーブオイルが偽物といわれる理由や本物を見分けるための基準をわかりやすく解説します。日々の食卓に質のいいオリーブオイルを取り入れたい、安心できるオリーブオイルを選びたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

オリーブオイルが偽物といわれる理由

オリーブオイルとオリーブの実

オリーブオイルが偽物といわれる理由には、国際基準と日本基準の違いによる表示の曖昧さが関係しています。ここでは、国際基準と日本基準の2つの視点から、なぜ偽物といわれるのかを丁寧に解説していきます。

国際基準は重要な指標だが注意が必要

オリーブオイルの品質を定める国際基準としては、IOC(国際オリーブ協会)の規定が非常に重要とされています。このIOCは、オリーブオイル生産国が参加している国際機関で、エクストラバージンオリーブオイルと表記するための酸度や風味などについて明確な数値基準を示しています。

国際基準(IOC国際オリーブ協会)
  • 酸度0.8%以下
  • IOC認定テイスターによる官能検査をクリア
  • 絞っただけのオリーブオイル(他の油等を混ぜていない)

ところが、実際の市場ではこのIOCの基準を満たしていないにもかかわらず、ラベルにエクストラバージンと表記している商品が少なからずあるという問題が指摘されてきました。

こうした状況が生まれる理由には、国際基準を満たしていない油をブレンドしていたり、製造過程で熱を加えたりしているケースが関係しています。また、そもそもどのようにテイスティングされたかが不透明なケースもあるため、国際基準という言葉だけを鵜呑みにするのは危険です。実際に、オリーブオイルの生産が盛んな国々では、オリーブの収穫から搾油までの工程を伝統的な手法で行う生産者も多いものの、大量生産を目的に基準を満たさないオイルと混ぜてしまうケースも報告されています。

IOCの基準では、酸度が0.8%以下で、風味に欠陥がないことなどが条件として挙げられます。しかし、それを裏づける書類や第三者機関の検査結果がない商品が存在するため、偽物かどうかを判断しづらい面があるのです。このような状況が消費者にとって分かりにくい構造を生み、結果として「オリーブオイルは偽物が多い」というイメージを与える原因になっています。

大事なのは、どのような基準で検査され、どのような製造過程をたどっているかを確認し、その違いをしっかり把握して選択することが重要です。

日本基準は国際基準よりも緩い

オリーブオイルの表示に関して、日本国内でも一定のルールが存在します。しかし、国際基準で定められた細かい酸度や官能評価の基準を、日本の法律やガイドラインがそのまま適用しているわけではないという現実があります。つまり、日本基準として「エクストラバージンオリーブオイル」と表記されていても、その品質が国際基準であるIOCの定義と完全に一致しているとは限らないのです。

日本基準(JAS法日本農林規格法)
  • 日本基準にエクストラバージンオリーブオイルの評価基準はない
  • オリーブ油:オリーブ特有の香味を有し、おおむね清澄である、かつ酸度1%以下
  • 精製オリーブ油:おおむね清澄で、香味良好である、かつ酸度0.3%以下

さらに、日本ではオリーブオイルの表示において厳密な監視体制が整っているとはいえず、輸入品を含む多様な商品がエクストラバージンを名乗れる環境があるとも指摘されています。そのため、消費者側は「日本でエクストラバージンと書かれているなら安心だろう」という先入観を持ってしまうと、偽物を購入するリスクが高まる可能性があります。

ただし、日本市場でも信頼できる輸入代理店や専門店は存在し、きちんとした分析データを提示している商品も増えてきました。購入する際に、商品ページやラベルの説明をじっくり確認することが大切です。内容成分や酸度、産地などがしっかり記載されているだけでも、ある程度の目安になります。

とはいえ、依然として消費者の目が届きにくい部分もあり、悪質な商品がゼロになったわけではありません。だからこそ、「日本基準だから大丈夫」と思い込むのではなく、国際基準との違いを理解し、本当に良い商品を見抜く目を養う意識を持つことが重要です。

本物のオリーブオイルの見分け方

オリーブオイルとオリーブの実

本物のオリーブオイルを選ぶには、国際基準(IOC)のクリアや国際コンテストでの受賞、認定マークの有無、そして栽培方法と製法の適切さといった指標をチェックすることが大切です。

こうしたポイントを押さえることで、偽物を買うリスクはぐっと下がります。以下では、それぞれの見分け方の重要性と具体的に何を確認すればいいのかを解説します。

国際基準(IOC)をクリアしているか

本物のオリーブオイルを判断するうえで、IOCの基準を満たしているかどうかは最もわかりやすいポイントのひとつです。先ほども触れましたが、酸度が0.8%以下であること、官能検査で欠陥のある風味が検出されないことなど、厳格な条件をすべてクリアしたオイルのみが「エクストラバージンオリーブオイル」と認められます。こうした条件を満たしているかどうかは、商品に付属している分析データや、販売店の情報ページで確認できることが多いです。

なぜIOC基準が重要かというと、世界的に通用する指標だからです。例えばイタリアやスペインなど、オリーブオイルの本場では、この基準にのっとった検査が行われています。そこをクリアした商品なら、少なくとも「偽物」というリスクはかなり低いと考えられるわけです。ただし、注意点としては、ラベルに「IOC基準合格」と書かれていても、その真偽を裏づける証拠がない場合もあることです。実績ある検査機関の証明や、第三者による評価が示されていると安心感が高まります。

実際に、真面目に基準を守っている生産者は、オリーブの栽培から搾油、瓶詰めまでのプロセスを透明性高く公開していることもあります。そうした取り組みを見れば、品質へのこだわりを感じられます。IOC基準をクリアするためには十分なコストと手間がかかるため、価格も高くなる傾向にありますが、結果的にそれが本物である目安のひとつにもなります。

国際コンテストで受賞歴があるか

国際コンテストでの受賞実績も、見分け方のひとつとして挙げられます。イタリアやスペインなど、オリーブオイルが盛んな国では、毎年数多くのコンテストが開催されており、優秀な生産者やブランドが表彰されています。これらのコンテストは専門家が味や香り、色合いなどを評価するため、受賞したオイルは高品質であるとみなされやすいのです。日本においても国際コンテストが開催されており、OLIVE JAPAN®では毎年世界中のエクストラバージンオリーブオイルの審査が行われています。

なぜコンテスト受賞が信頼につながるかというと、国際的に権威のある審査員がブラインドテイスティングを行い、よりフェアで専門的な評価が下されるからです。実際にエントリーされるオリーブオイルは数百から数千銘柄にのぼり、その中で受賞を果たすのはごく一部に限られます。よって、受賞歴を持つオリーブオイルは、味や香りが特に優れている可能性が高いといえます。

例えば、「NYIOOC」や「BIOL」など、国際的に有名なコンテスト名をパッケージに記載している商品もあります。ただし、全ての優良生産者が必ずしもコンテストに出品しているわけではないため、受賞歴がない=偽物とは断定できません。しかし、受賞歴がある商品は本物である可能性がかなり高いと考えられます。

認定マークはあるか

オリーブオイルの品質を確かめるうえで、認定マークをチェックするのも重要です。代表的なものに、有機農産物の基準をクリアした証としての「有機JASマーク」や地域特産品の品質を保証するヨーロッパの「PDO(Protected Designation of Origin)」そして「PGI(Protected Geographical Indication)」などがあります。こうしたマークは、そのオリーブがどの地域で栽培され、どのような管理のもとで生産されたかを示す目印です。

認定マークは、ある特定の機関や地域が品質を保証していることを表し、少なくとも生産過程において一定水準以上の厳しさをクリアしているといえます。ただし、認定マークの取得には費用や手続きが必要なため、小さな生産者などは優れた商品を作っていても認定を受けていない場合があります。

一方で、認定マークがあるからといって絶対にすべてが完璧とも言い切れない側面もあります。というのも、あくまでも栽培・製法についての証明であり、オリーブオイルそのものの品質を証明しているものではないためです。それでも、認定マークがある商品を選ぶことで、安心感は大きく高まるはずです。

栽培方法と製法は適切か

最後に、栽培方法と製法をきちんと理解することも、本物のオリーブオイルを選ぶ際の重要な指標です。具体的には、オリーブの栽培に使われる農薬や肥料の管理状況、収穫後の搾油方法、そして保管方法などが関わってきます。一般的に、コールドプレス製法と呼ばれる低温圧搾によって作られたオイルは、香りや有効成分が損なわれにくいとされ、本物のエクストラバージンオリーブオイルとして高く評価されやすいです。

また、栽培時に合成農薬や化学肥料を最小限に抑えている、もしくは使用しない農家は、オリーブの実そのものに余計な化学物質が残留しにくいと考えらます。そうした農家では、収穫のタイミングや鮮度管理にも細心の注意を払うため、より高品質のオイルが期待できるのです。一方、大量生産を急ぐあまり、熱や化学溶剤を使って搾油する製法もあり、そうした方法ではオリーブ本来の風味や栄養素が損なわれてしまいがちです。

特に、コールドプレスやファーストコールドプレスと明記されている商品は、オリーブの実を圧搾して出てくる最初の一番搾りを、加熱しないで抽出しているため、より高い品質が期待できます。

オリーブは繊細な作物であり、いい状態で収穫し、適切に搾油しなければ高品質なオイルは得られません。

本物のオリーブオイルの見分け方のQ&A

ラベルにエクストラバージンと書かれていれば本物ですか?

本物とは言い切れません。国際基準(IOC)をクリアしているか、コンテスト受賞歴があるか、認定マークがあるか、栽培や製造方法は適切かなどを合わせてチェックする必要があります。残念ながら表記だけで本物と断定するのは難しいです。

香りや味で偽物かどうか判断できますか?

ある程度可能です。本物のオリーブオイルには、青々しいフレッシュな香りや軽い辛み、そしてまろやかなコクが感じられます。開けた瞬間に草のような爽やかな香りが鼻をくすぐるなら、新鮮さの証拠といえます。逆に、古い油のようなニオイや酸化したような風味がある場合は要注意です。

コールドプレスが良いといわれる理由は何ですか?

コールドプレスは低温で搾油する方法で、オリーブがもつ栄養素や風味を損なわないと考えられています。短時間で大量に生産する方法ではないため、コストが高くなる傾向がありますが、その分だけ質が高いオイルに仕上がりやすいです。本物のエクストラバージンを選びたいなら、コールドプレス製法にこだわった商品を探すのがおすすめです。

価格の違いで本物と偽物を見分けることはできますか?

価格が安くても、条件を満たしている商品であれば問題ない場合もありますが、極端に安価なものは注意が必要です。エクストラバージンオリーブオイルは品質管理や生産にコストがかかるため、極端に安いオイルは偽物のリスクが高まる可能性があります。

加熱調理にエクストラバージンオリーブオイルを使用できますか?

使用することは可能ですが、精製されたオリーブオイルよりも熱に強くはありません。また、エクストラバージンオリーブオイルを加熱することで、特有のフレッシュな香りや栄養素が失われやすくなります。そのため、エクストラバージンオリーブオイルは料理の仕上げやサラダなどにそのまま使用するのが推奨されています。

本物のオリーブオイルを生活に取り入れよう

オリーブオイルとサラダ

ここまで解説してきたように、オリーブオイルが偽物といわれる理由には、国際基準と日本基準のギャップやラベル表示の曖昧さなど、さまざまな要因があります。一方で、本物のオリーブオイルを見分けるには、IOC基準のクリア状況や国際コンテストでの受賞歴、認定マークの有無、そして栽培方法と製法の透明性に注目することが大切です。

このようなポイントをしっかり押さえておくだけでも、粗悪なオリーブオイルを掴むリスクは大きく減らすことができます。ぜひ、本物と偽物のオリーブオイルを見極めて、フレッシュな本来のオリーブオイルを堪能してください。

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