オリーブオイルには「エキストラバージン」や「低温圧搾」などの言葉が溢れていますが、それが本物である保証にはなりません。特に気になるのが、価格と品質の関係性です。500mlで1,000円を切る製品もあれば、3,000円以上する商品も存在し、その差に戸惑う方も多いのではないでしょうか。
この記事では、国際基準や製法・流通の違いをもとに、本物のオリーブオイルの価格帯と品質の関係性を解説します。さらに、安価なオイルとの違いや、「高価=高品質」とは限らない理由についても紐解いていきます。信頼できる一本を選びたい方は、ぜひ参考にしてください。
本物のオリーブオイルの値段相場

本物のオリーブオイルを選ぶうえで、値段は重要な判断材料のひとつです。しかし市場には500mlで数百円の製品から、数千円する高級品まで幅広く流通しており、「いくらのオイルが本物なのか」と悩む人も少なくありません。価格には製法や原料、品質管理体制などが大きく関わっており、見た目だけではその価値を判断しにくいのが実情です。
ここでは、本物のオリーブオイルとされる価格帯の違いを解説し、なぜ値段に幅があるのか、価格がどのように決まるのかを詳しく見ていきます。
本物のオリーブオイルの価格帯別の違い
本物のオリーブオイルは、一般的に500mlあたり1,800円〜5,000円程度が適正価格とされています。これは製法や原材料、流通コストが反映された結果であり、安価な製品とは一線を画します。
なぜこの価格差が生まれるのかというと、まず製造工程に違いがあります。本物のエキストラバージンオリーブオイルは、低温で圧搾される「コールドプレス製法」が基本で、加熱を避けることでオレイン酸やポリフェノールなどの有効成分を保持しています。この製法には高度な技術と時間、コストがかかるため、どうしても価格に反映されます。
例えば、500mlで1,000円以下の製品の多くは、酸度が高かったり、ブレンドされた精製オイルである可能性があります。対して2,000円台以上の製品は、単一農園のオリーブを使用した「シングルエステート」や、化学的な処理を加えない純粋なオイルであることが多く、風味・香り・栄養価のすべてにおいて優れています。
価格帯によって得られる品質と安全性に明確な差があり、特に健康や美容目的で取り入れる場合には、1,800円以上の本格オイルを選ぶのが理にかなっています。
本物のオリーブオイルの価格に影響する要素
本物のオリーブオイルの価格は、単なるブランド力ではなく、複数の要素が絡み合って形成されています。これらの要素を理解することで、価格に対する納得感が高まり、選択に迷いがなくなります。
まず大きな影響を与えるのが「製法」です。エキストラバージンの品質を維持するためには、収穫後24時間以内に低温圧搾する必要があり、この迅速かつ衛生的な工程には高度な設備と人件費がかかります。また、農薬や化学肥料を使わず育てられたオーガニックオリーブは収穫量が限られるため、コストが上昇します。
次に挙げられるのが「原産地と品種」です。イタリア、スペイン、ギリシャなど地中海沿岸の一部地域では、PDO(保護原産地呼称)などの厳格な管理のもとで生産されており、これが付加価値となって価格に反映されます。加えて、単一品種のオリーブを使ったオイルは風味の個性が際立ち、高価格帯で取引されることが多いです。
さらに「輸送と保存方法」も価格を左右します。オリーブオイルは光や熱に弱く、劣化を防ぐために遮光瓶を使用したり、冷蔵輸送された製品はそれだけコストがかかるのです。日本に輸入されるまでの品質管理体制がしっかりしているほど、その分価格にも反映されます。
以上のように、価格には正当な理由が存在します。見た目や広告だけでなく、その背景にある製造・管理体制を知ることで、「なぜ高いのか」「なぜ安いのか」が明確になります。価格と品質の関係を理解することは、本物のオリーブオイルを選ぶうえで極めて重要です。
安価なオリーブオイルとの違い

スーパーなどでよく見かける500mlで数百円程度のオリーブオイルは、その手頃さから日常使いに選ばれがちですが、実はその多くが「本物のオリーブオイル」とは品質面で大きな違いがあります。安価なオイルの多くは、大量生産・ブレンド・精製といったコスト削減の手法によって製造されており、風味や栄養成分において大幅な差が生まれます。
ここでは、なぜ安価なオリーブオイルが低価格で販売されるのか、その裏にある製造工程や品質の問題点を詳しく解説します。
製造コストを抑えた大量生産品
安価なオリーブオイルが低価格で提供されている背景には、大量生産による製造コストの圧縮があります。これはコスト面では魅力的に見えますが、品質の観点からは見逃せない問題があります。
大量生産品は、効率性を重視した機械的な収穫や選別、保存期間の長い原料を使用する傾向があり、その結果、鮮度や香りといったオリーブオイル本来の魅力が損なわれやすくなります。また、果実の損傷や劣化したオリーブも混入することがあり、それが酸度の上昇や風味の低下につながります。
例えば、手摘みにこだわる高級品では収穫から24時間以内に搾油されるのが基本ですが、大量生産品では収穫から数日以上経過したものが使われることもあります。これにより、抗酸化成分であるポリフェノールやビタミンEの含有量も減少してしまいます。
したがって、低価格を実現するために製造工程で妥協が行われた結果、風味・栄養・安全性のすべてにおいて本物のオイルとは差が生じてしまうのです。
ブレンドや精製オイル
安価なオリーブオイルに多い特徴のひとつが、「ブレンド」や「精製」といった処理です。これらは見た目こそ透明感があり、サラッとしていますが、本物のオリーブオイルが持つ風味や栄養価とはまったく異なる性質を持ちます。
ブレンドオイルとは、品質のばらつきがある複数のオリーブオイルや他種の植物油を混ぜ合わせたものです。この工程により風味は均一化されますが、本来の個性や芳香、苦味、辛味といった特徴が失われやすくなります。また、質の悪い原料や古い油を混ぜている可能性もあり、消費者が見抜くのは困難です。
さらに、精製オリーブオイルは、酸度が高すぎるなどの理由で食用に適さない低品質オイルを高温処理・脱酸・脱臭などによって再加工したものです。この過程で有用成分がほとんど失われ、栄養価は著しく低下します。ビタミンEやポリフェノールといった健康に寄与する成分が極端に少ないのも特徴です。
ブレンドや精製によって価格は下がりますが、「健康のためにオリーブオイルを使う」という本来の目的からは外れてしまうことになります。見た目や価格だけではなく、製造方法にも注目することが、後悔のない選択につながります。
本物のオリーブオイルを値段だけで判断してはいけない理由

オリーブオイルを選ぶ際、「高ければ高品質」「安ければ粗悪品」という単純な価格判断をしてしまいがちです。しかし、現実にはその認識が当てはまらないことも多く存在します。特にブランド力やパッケージデザインによって価格が吊り上げられている製品や、逆に流通コストを抑えることで適正価格でも高品質を実現している製品もあるため、値段だけを基準にするのは危険です。
ここでは、価格と品質のギャップの背景、「高い=良い」とは限らない理由、そして適正価格で手に入る本物のオイルが存在することを、具体的に解説していきます。
ブランド価格と実質品質のギャップ
オリーブオイルの中には、ブランド名やパッケージデザインの影響で価格が高く設定されている製品がありますが、そのすべてが実質的な品質と見合っているとは限りません。見た目やネームバリューに惑わされず、本当に中身で評価する目を持つことが大切です。
ブランドが確立されたオリーブオイルは、広告費やデザイン費、流通マージンが価格に上乗せされるケースが多く、実際の製造コストや品質以上の価格設定となっている場合があります。例えば、知名度の高い有名ブランドでも、製法が一般的なものと大差なかったり、酸度や香りが平均的であることも珍しくありません。
実際に、無名でも生産者直送やシングルエステート(単一農園)の製品は、品質が極めて高いにもかかわらず、価格が抑えられていることがあります。こうした製品は宣伝にコストをかけない分、製品そのものに価格が集中しており、結果的に高い品質をお得に得られることにつながります。
ブランドの知名度や価格に惑わされず、ラベルの情報や第三者認証、味や香りの評価に注目することで、価格と品質のギャップを見抜くことができます。見た目や人気よりも、「中身」に目を向ける姿勢が重要です。以下の記事では本物のオリーブオイルを見分け方について、詳しく解説しています。

「高い=良い」ではない本質的な見極め方
高価格のオリーブオイルが必ずしも高品質とは限りません。消費者が真に重視すべきなのは、価格ではなく品質を裏づける具体的な要素です。
まず注目すべきは、「酸度」と「製法」です。エクストラバージンオリーブオイルとして認められるには、酸度が0.8%以下である必要がありますが、商品によってはこの情報が非公開の場合もあります。また、低温圧搾や無濾過など、風味や成分保持にこだわった製法が用いられているかどうかも重要です。
さらに、DOPや有機JASなど、第三者機関による認証も見極めの助けになります。これらのマークは、生産から流通まで厳しい基準を満たしている証であり、価格以上の安心感を提供してくれます。一方で、価格が高いだけで認証のない製品もあり、信頼性にはばらつきがあります。
価格はあくまで参考程度にとどめ、実際には「酸度」「製法」「認証」の3点をチェックするのが、本質的な見極め方です。高価格に惑わされず、裏付けのある情報に基づいて選ぶことが、真に良質なオリーブオイルを見つける方法です。
適正価格で高品質なオリーブオイルも存在する
高品質なオリーブオイル=高価格という常識は、実はすべてのケースに当てはまるわけではありません。適正価格でも丁寧に作られた、実力派のオリーブオイルは確かに存在します。価格だけで判断するのではなく、その背景にある価値を見極めることが大切です。
例えば、生産者から直接仕入れている輸入業者や、国内で少量生産している農園の製品は、宣伝費や流通マージンがかからないため、品質のわりに価格が抑えられている傾向にあります。こうした製品は、シンプルなパッケージでも、香りや味わい、成分含有量で高く評価されることが多いのが特徴です。
実際に、2,000円〜3,000円程度で購入できるエクストラバージンオイルの中にも、国際コンテストで受賞歴のあるオイルや、酸度0.3%以下という高品質なものが存在します。こうした「隠れた名品」は、知る人ぞ知る存在として愛されており、料理や健康習慣の質を大きく高めてくれます。
「高ければ良い」という固定観念に縛られず、適正な価格内でも品質に優れた選択肢は多数存在します。信頼できる販売元や第三者の評価を参考にすることで、高品質とコストパフォーマンスを両立させたオリーブオイルを見つけることができるのです。

本物のオリーブオイルに関するQ&A
- エクストラバージンオリーブオイルならすべて本物ですか?
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必ずしも本物とは限りません。表示だけで判断せず、酸度や製法、認証マークの有無などを確認することが重要です。
- 本物のオリーブオイルの価格はどれくらいが目安ですか?
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一般的には500mlで1,800円〜5,000円程度が品質の高い本物の価格帯とされています。極端に安いものは要注意です。
- 安価なオリーブオイルは体に悪いですか?
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酸化したオイルや精製された低品質オイルは、健康に悪影響を及ぼす可能性があります。長期的な摂取は避けた方が無難です。
- 本物のオリーブオイルはどう見分ければいいですか?
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「低温圧搾」「酸度0.8%以下」「遮光瓶使用」「DOPや有機JAS認証」などの要素がある製品を選ぶと安心です。
- 高級オリーブオイルでも偽物の可能性はありますか?
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可能性はあります。ブランドや価格に頼らず、ラベル情報や製造元の透明性、第三者認証を確認することが大切です。
本物のオリーブオイルの値段と品質を正しく理解しよう

本物のオリーブオイルは、製法や原料、流通方法などにこだわることで高品質を実現しており、その分、500mlあたり1,800円〜5,000円程度の価格帯が妥当とされています。一方、安価なオイルは精製・ブレンドなどによって品質が落ちている場合もあるため注意が必要です。
ただし、「高い=良い」とも限らず、適正価格で高品質な製品も存在します。価格だけで判断せず、製法・酸度・認証などを基準に選ぶことが、本物を見極めるポイントです。信頼できる1本を選び、日々の健康や食生活を豊かにしましょう。