オリーブオイルは地中海料理だけでなく、炒め物やドレッシングとしても活用できる人気の高い油です。しかし、正しい保存方法を知らないまま放置してしまうと、風味が落ちたり酸化が進んでしまいます。
そこで、本記事ではオリーブオイルを最後まで美味しく安全に使い切るための保存方法のコツや賞味期限切れの活用方法までを詳しく解説していきます。
オリーブオイルの未開封と開封後の賞味期限目安

未開封のオリーブオイルは、一般的に保存がきくイメージを持っている方も多いと思います。一方で、開封後のオリーブオイルは一気に酸化しやすくなり、未開封と比較して賞味期限は短くなります。
ここでは、オリーブオイルの未開封時と開封後の賞味期限の目安、開封後に気をつけるポイントについて解説していきます。
未開封時の一般的な賞味期限は1~2年が目安

未開封のオリーブオイルの賞味期限は、多くのメーカーで1〜2年程度とされています。これは「賞味期限」であって「消費期限」ではないため、多少過ぎてもすぐに悪くなるわけではありません。しかし、期限を大きく過ぎると風味や香りが落ちてしまうため、できるだけ期限内に使い切ることが大切です。
賞味期限が1〜2年とされている理由は、オリーブオイルは酸化しやすい性質を持つため、長期保存中に徐々に品質が変化してしまうためです。オリーブオイルはポリフェノールなど健康に良い成分を多く含む一方、空気や光の影響を受けやすい特徴があります。未開封であっても、瓶や容器を通して光や温度変化の影響を受ける可能性はゼロではなありません。そのため、1〜2年程度を目安として設定しているメーカーが多いというわけです。
ただし、賞味期限内でも保管環境が悪いと品質が劣化しやすくなります。特に、高温多湿や直射日光の当たる場所に長期間保管していると、開封前でも風味が落ちてしまうことがあります。ですから、購入後はできるだけ暗く涼しい場所に保管することが望ましいといえます。
オリーブオイルにはさまざまなグレードや産地がありますが、メーカーが推奨する保存期間や保存方法はほとんど共通しています。安価なものから高品質なエキストラバージンオリーブオイルまで、「1〜2年程度が賞味期限の目安」という点は押さえておきたいポイントです。
開封後の賞味期限は1~3カ月が目安

開封後のオリーブオイルの賞味期限の目安は、一般的に1〜3カ月程度とされています。未開封よりもかなり短く感じるかもしれませんが、それだけオリーブオイルは繊細な油ということです。
1〜3カ月という目安は、オリーブオイルを美味しく使える期間だと考えてください。口に入れて不快な臭いや味がしないのであれば、それを過ぎてもすぐに捨てる必要はありません。しかし、オリーブオイル特有の青い果実感やまろやかさが消え、えぐみや刺激が増してくる可能性は高いです。また、酸化した油を摂取すると体に良くないイメージを抱く方も多いため、品質や味の劣化を感じたら思い切って新しいオリーブオイルに切り替えるのがおすすめです。
場合によっては大容量サイズのオリーブオイルを購入し、長期間かけて使い続けることがあるかもしれません。ですが、酸化を防ぐためにも、できれば少し小さめのボトルを選び、開封したら1〜3カ月で使い切る習慣をつけるようにしましょう。ドレッシングやパスタ、炒め物など、思ったよりも使用場面は多いので、意識的に使えば賞味期限内に使い切るのは決して難しくはありません。
賞味期限切れのオリーブオイルの活用方法

買ったまま忘れていたり、大容量を買って使いきれずに賞味期限切れとなってしまったオリーブオイルを、どうするか悩む人は少なくありません。ここでは、安全に使えるのかどうか、そして食用以外の利用法について解説していきます。
賞味期限切れ後の安全性の判断基準

賞味期限はあくまでも「おいしく食べられる」期間を示す目安であり、切れた瞬間に食べられなくなるわけではありません。しかし、オリーブオイルは酸化が進むと独特の臭いや苦味、えぐみが出てしまいます。開封後や期限切れ後に、においや味を確認して強い異変を感じた場合は、食用での使用は避けるのが賢明です。
たとえば、明らかに異臭がする場合や鼻をつくような刺激臭がある場合は、すでに酸化がかなり進んでいるサインです。また、オリーブオイルなのに茶色や濁った色に変色しているようであれば、品質が大幅に低下している可能性が高いといえます。そのような場合は食べるのをやめて廃棄することを検討しましょう。
一方、ほんの少し匂いが変わったかな、程度であれば、熱を通す料理に使えば体に大きな害はないとされています。しかし、風味の劣化や健康面を考慮すると、あまりおすすめはできません。結論として、少しでも違和感を覚えたなら無理をせず、別の使い道を検討するのが安全です。
食用以外の使い道

もし、賞味期限を過ぎて食用として使うのが不安になった場合は、食用以外の使い道を検討考しましょう。たとえば、オリーブオイルは肌や髪に潤いを与える成分も豊富に含まれているため、ハンドクリームやヘアケアとして使う方法もあります。湯船に少量垂らして入浴すると、肌がしっとりと感じられることもあります。
さらに、オリーブオイルは木製品や革製品のお手入れに活用することも可能です。木のカッティングボードや家具などの表面に薄く塗り込むと、艶が出てひび割れを防ぎやすくなります。革製品のカバンやブーツ、財布などにも、ほんの少しだけ塗り込むと適度な潤いが与えられ、ひび割れを防ぐことができます。ただし、塗りすぎるとベタつく場合があるので、少量を布に含ませて馴染ませるのがコツです。
また、アウトドアや非常時の簡易ランプとして使うというアイデアもあります。耐熱性のある小皿や容器にオリーブオイルを入れ、紐状の芯を浸して火をつければ、ちょっとした油ランプとしても利用可能です。賞味期限切れであってもこのような活用方法を取り入れることで、捨てずに有効活用することができます。
オリーブオイルは常温保存が基本

オリーブオイルの品質を保つうえで、保存環境はとても大切です。誤った保存方法をとってしまうと、せっかくの美味しいオリーブオイルもあっという間に劣化してしまいます。ここでは、なぜ常温保存が推奨されるのか、そして暗く涼しい場所で保存する理由や具体的なポイントを解説していきます。
冷蔵・冷凍保存がダメな理由

オリーブオイルを冷蔵庫や冷凍庫で保存しているという方もいるのではないでしょうか。しかし、オリーブオイルは基本的に常温保存が望ましく、適した温度は12~15℃といわれています。オリーブオイルは温度が低くなると固まりやすくなる性質があり、固まることで成分が凝縮されて沈殿物が生じたり、使うときに不便になってしまいます。
固まったオリーブオイルを再び液状に戻すために無理に加熱すると、熱による成分の変性が起きる可能性があり、風味や香りを損なう恐れがあります。また、何度も冷蔵と常温を行き来させることで、オイルの品質が安定しなくなる点も注意が必要です。冷凍保存までしてしまうと、さらに固化してしまい、解凍時の温度変化で酸化が進むリスクも高まります。
極端に暑い地域や真夏の高温状態で長期間放置する可能性がある場合を除き、冷蔵や冷凍保存は避けるようにしましょう。
暗い涼しい場所で保存する

オリーブオイルを常温で保存するときの大前提は、暗く涼しい場所を選ぶことです。とりわけ光はオリーブオイルの大敵であり、容器越しにも紫外線などの光が当たると、酸化が進みやすくなります。メーカーが遮光性の高い瓶を使用しているのもそのためです。
適温は12〜15℃が理想とされ、コンロ周りやレンジ周り、日当たりの良い窓際などを避けた、キッチン下の収納や引き出し、戸棚の中、床下収納などで保存するのがおすすめです。常温でも常に25度を超えるような環境であれば、少しでも風通しの良い涼しい場所を探すようにしましょう。また、暗い場所を確保できない場合は、光を遮断するために、紙袋や布で覆うのも有効な手段です。
暗く涼しい場所で保存することで、オリーブオイルのもつ天然の抗酸化成分が活かされやすくなり、結果的に賞味期限内の風味を保ちやすくなります。光と熱、そして空気の3つの要素をなるべく避けるように心がけてください。
未開封時の保存のポイント

未開封のオリーブオイルであっても、高温多湿な場所や直射日光が当たる環境は避けるのが基本です。賞味期限が1〜2年といわれているのは先ほどお伝えした通りですが、保存環境が悪いと期限内でも急速に品質が下がる可能性が高くなります。
特に、夏場の気温が高い時期は要注意です。キッチンの棚の中でも、コンロ周辺は常に熱がこもりがちなので、保管場所としては不向きといえます。また、日当たりの良い窓際に置いてしまうと、光と熱の両方を受け続けることになります。未開封時もなるべく涼しく暗い場所を選び、オリーブオイルを保護してあげましょう。
万一、保管場所の都合でどうしても暑い室内しか確保できない場合は、こまめに使い切れる小容量サイズのオリーブオイルを選ぶことをおすすめします。それならば、賞味期限まで保存するまでもなく、早めに使い切ることができます。
開封後の保存のポイント

開封後は未開封時以上に注意が必要です。開封直後からオリーブオイルは空気に触れており、酸化が進みやすい状態になります。そのため、使い終わったらすぐにキャップを閉めるのはもちろんのこと、注ぎ口やキャップまわりにオイルがついていないか確認し、汚れや雑菌がつかないようにすることが大切です。
また、注ぎやすいからといってプラスチック容器に移し替え続けるのは、長期的にはあまりおすすめできません。プラスチック容器の中には酸化を助長しやすいものもあり、密閉性が十分でない場合もあります。
さらに、開封後は1〜3カ月程度で使い切ることを念頭に置きつつ、料理に積極的に使っていくのがよいでしょう。サラダやパスタだけでなく、炒め物や焼き物、さらにはお菓子づくりなどでも使い道は幅広いです。こうした工夫を重ねることで、オリーブオイルの美味しさを最大限に保ちながら最後まで使い切ることが可能となります。

オリーブオイルの保存方法と賞味期限のQ&A
- 冷蔵庫に入れて固まってしまったオリーブオイルは使えますか?
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固まっていても品質的にすぐに問題が起きるわけではありません。常温に戻せば液状に戻りますが、成分の分離や熱による再結晶化で、風味や香りが変わってしまう可能性があります。頻繁に固まらせたり溶かしたりを繰り返すと、酸化も進みやすいので注意が必要です。
- 賞味期限切れのオリーブオイルを料理に使うのは危険ですか?
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賞味期限を少し過ぎた程度ならすぐに危険というわけではありませんが、においや味に異変を感じたり、えぐみを覚えたりするようなら使用を避けたほうが無難です。体に害が出るリスクは低いとされますが、酸化した油は美味しくないうえに、健康面でもあまり良いとはいえないので、新しいオイルへ切り替えるのがおすすめです。
- 大容量のオリーブオイルを買うメリットはありますか?
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価格的には割安になるケースが多いですが、酸化を防ぐためには保存方法に十分気を配る必要があります。できる限り暗く涼しい場所に置いて、1〜3カ月を目安に使い切るように工夫することが重要です。
- オリーブオイルは他の食用油よりも傷みやすいですか?
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オリーブオイルは健康に良いポリフェノールなどを多く含む反面、酸化が進みやすい特徴があります。ただし、エキストラバージンオリーブオイルなどは抗酸化成分が豊富に含まれているため、適切に保存すれば比較的風味を保ちやすいという見方もあります。とはいえ、あくまで油の一種なので、保存状態が悪ければ劣化は進みます。
オリーブオイルを長持ちさせよう

オリーブオイルは風味と栄養価の高さから人気の高い油ですが、正しく保存することでより長く美味しく楽しめます。未開封なら1〜2年、開封後は1〜3カ月を目安に使い切りましょう。
保存方法は冷蔵せず、暗く涼しい場所で保存するのが基本です。賞味期限が過ぎても異臭や変色がなければ、料理や食用以外の用途に活用することができます。ぜひ今回解説した保存方法と使い方を実践して、オリーブオイルで毎日の食卓を豊かにしてください。