犬や猫がいてもお香を焚いていい?使い方やストレス対策について解説

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お香

お香を焚くと穏やかな香りを楽しめるだけでなく、部屋のにおい対策やリラックス空間を作ることができます。しかし、犬や猫といった大切な家族の健康に悪影響が出ないか、不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、犬や猫がいてもお香を焚いて大丈夫なのかについて解説します。結論、お香の使用は犬や猫といったペットの健康リスクとなり得ますが、しっかりと配慮することでリスクを可能な限り減らすことができます。以下で詳しく解説していきます。

目次

お香は犬や猫がいても焚いてもいいが注意が必要

猫と犬

犬や猫の嗅覚は人間より敏感

犬や猫の嗅覚は人間より遥かに鋭敏です。犬は人の1000~1億倍、猫は数万~数十万倍の嗅覚を持ちます​。そのため、人には心地よいお香の香りでも、ペットにとっては刺激が強すぎたりストレスの原因になる可能性があります。

特に猫は自分や環境の匂いを大切にし、強い芳香剤で自分の匂いが消えると不安を感じることがあります​。実際、強い香りの清掃剤を猫のくつろぐ場所で使うと猫が嫌がるという指摘もあります​。まずはペットの嗅覚の鋭さを理解し、強すぎる香りの環境がストレスになり得ることを理解することが大切です。

お香の煙が犬や猫の呼吸器に影響する可能性がある

お香を焚くと発生する煙には、粒子状物質(PM)や揮発性有機化合物(VOC)、一酸化炭素、二酸化硫黄、二酸化窒素など多種多様な成分が含まれます。これらは人の健康にも有害となり得るものですが、犬や猫の呼吸器系は人より敏感であるため、影響がより深刻になるおそれがあります。

例えば、お香やタバコの煙に慢性的にさらされると、猫では喘息や気管支炎の誘発・悪化につながるとされています。実際に獣医領域の研究でも、呼吸器疾患のある犬は健康な犬に比べて家庭内でお香を焚かれていた割合が高かったとの報告があります。また、室内のPM2.5濃度が高い環境で飼われている猫では、そうでない猫に比べて呼吸器疾患の発生率が有意に高かったことも示されています。

これらの知見から、お香の煙による粒子や有害ガスの吸入はペットの気道に負担をかけ、長期的には慢性気管支炎や喘息症状のリスクを高める可能性があります。特に喘息持ちの猫にとって煙は大敵で、少量の煙でも発作を誘発することがあるため注意が必要です。お香を使用する際は換気を十分に行い、ペットが煙を直接吸わない環境を心がけましょう。

参考:Association between indoor air pollution and respiratory disease in companion dogs and cats

お香の香料成分が犬や猫に影響する可能性がある

お香の香りづけに使われる精油(エッセンシャルオイル)や合成香料の中には、犬や猫にとって有毒となり得る成分が含まれている場合があります。特に猫は肝臓の解毒酵素の活性が低く、一部の精油成分をうまく代謝・排泄できません。そのため猫は人間や犬以上に精油中のフェノール類(ユーカリやタイムに含まれる成分)に対して高い感受性を示し、中毒症状を起こしやすいことが知られています。

猫に有害になる可能性のある精油成分

ティーツリー/ユーカリ/シトラス/ペニーロイヤル/シナモン/クローブ/ペパーミント/ウィンターグリーン/ラベンダー/イランイラン/ローズマリー/タイム/ゼラニウム/ローズ/サンダルウッド

実際、ティーツリーオイル(メラレウカ油)配合のペット製品を猫に使用した後に重篤な中毒症状を起こすケースが1990年代から多数報告されました。米国ではこれを受けて猫用製品中のティーツリー濃度は1%以下にすべきとの勧告がなされています。犬は猫ほど代謝機能の問題は指摘されていませんが、それでも高濃度の精油を皮膚に塗布したり経口摂取すれば中毒を起こし得ます。したがって、お香にブレンドされている精油成分や合成成分は犬や猫にとって有毒になる可能性があるため、使用する際はしっかりと配慮することが大切です。

参考:
Concentrated tea tree oil toxicosis in dogs and cats: 443 cases (2002-2012)
Essential Oils and Cats

犬や猫がいるときにお香を安全に楽しむ方法

お香

換気を徹底する

犬や猫と暮らす空間でお香を使う際は、換気が何よりも大切です。密閉された部屋で焚くと、どうしても煙が充満しやすくなり、ペットが吸い込むリスクが高まります。窓やドアを開けられるなら定期的に空気の入れ替えをして、煙がこもらないように工夫してください。

換気扇があるキッチンやバスルームなどで一時的にお香を焚くのも一つの手です。ペットがその部屋に出入りしない場合は、煙を吸わせる機会も減り、より安全に使えます。また、扇風機などを弱く回して空気を動かすのも効果的です。あまり強風にすると灰が舞ったり、お香の火が危険な形で消えてしまうことがあるので注意しましょう。

人間の鼻ではちょっとした煙や香りの濃度変化を感じ取りづらいかもしれませんが、犬や猫には大きなストレスとなる可能性があります。定期的な換気を行うことで、ペットだけでなく飼い主にとっても快適な環境を維持できます。

犬や猫が逃げられる環境を作る

犬や猫と暮らしている場合、犬や猫が自由に避難できる場所を確保することも大切です。家の中にはペットがくつろげるベッドやキャットタワーなどがあるかもしれませんが、もしそこが煙の流れやすい位置にあると、逃げ場がない状態になってしまいます。

たとえば、キャットタワーを煙が届きにくい部屋へ移動させる、犬が自由に移動できるように扉を開放するなど、ペットの行動範囲を制限しない工夫をしてあげましょう。逃げ場所があれば、ペット自身が「ここは嫌だ」と感じたときにすぐ移動でき、無理に煙のある空間に留まらずに済みます。

また、一時的にペットをほかの部屋に連れていってから、お香を短時間だけ焚くという方法もあります。ペットが香りや煙に敏感な性質であるほど、このような配慮をするだけでストレスや体調不良を大きく減らせます。

ペットの性格によっては、好奇心旺盛でお香の煙や火元に近づきたがる場合もあります。その場合は安全な場所へ誘導しつつ、お香を焚くエリアにペットが立ち入りにくい工夫を行うことが大切です。

呼吸器疾患を持つ犬や猫には使用しない

既に呼吸器やアレルギー疾患を抱えている犬や猫にとって、煙や香りの刺激は大きなリスクとなります。たとえば、気管支が弱い場合や喘息の症状がある場合、少しの煙でも呼吸が苦しくなってしまう可能性があります。そのようなペットには、基本的にお香の使用を控えるのが安全です。

仮に小さな影響であっても、継続的な煙や香料の刺激が重なれば、体調が悪化する可能性が高まります。特に診断を受けている、あるいは病院でケア中のペットの場合は、獣医師の意見をしっかりと聞いてからお香の使用を決めるようにしましょう。

長時間・頻繁な使用を控える

お香を一日に何度も長時間焚くのは避けたほうが無難です。人間でも、煙を過剰に吸い込むことは身体に負担がかかりやすいといえますし、ましてや犬や猫の嗅覚や呼吸器には大きなストレスとなりかねません。

部屋の消臭が目的であれば、短時間でも十分に香りを行き渡らせることはできます。むしろ、こまめに換気をしながら適切な時間だけお香を焚いたほうが、空気が淀まずペットも快適に過ごせるでしょう。一度に長時間焚くよりも、数分から数十分程度を目安にして、ペットの様子を見ながら回数を調整してください。

また、香りの強さは時間経過とともに変化します。最初のうちはきつく感じなくても、長く焚き続けることで部屋全体に濃度が蓄積され、ペットのストレスを増やしてしまうかもしれません。匂いに慣れてくるのは人間のほうだけで、ペットは苦しんでいることもあり得ます。

結果的に、ペットの体調や機嫌が悪くなるリスクを避けるためには、「必要最小限でお香を楽しむ」くらいのスタンスが理想です。お香の香りを存分に味わいたい場合は、ペットがいない部屋や時間帯を活用する工夫も大切です。

犬や猫の様子を観察する

犬や猫を飼っていると、日々の表情や仕草がわかってくるはずです。お香を焚き始めたときに、くしゃみを連発したり呼吸が荒くなったり、落ち着かずウロウロし始めるような変化が見られたら、即座にお香の使用を中止して部屋を換気しましょう。

一部の犬や猫は、香りや煙に対してそれほど強い反応を示さない場合もありますが、個体差があることを前提に考えるべきです。強い反応が出る子はもちろん、普段大人しい子でも体調を壊すことがないとは言い切れません。飼い主が気づかないレベルであっても、ペットがストレスを感じている可能性はあります。

また、長期的な健康被害も気にする必要があります。短期間では問題が出なくても、日常的に煙を吸い込み続けると、気管支や肺に負担がかかることが考えられます。犬や猫の食欲や便の状態、毛並みの変化など、トータルで体調をチェックし、少しでも異変があれば獣医師に相談してください。

香りによる中毒症状の例

ふらつき/体の震え/沈うつ/よだれ過多/嘔吐/下痢/食欲不振/呼吸困難/咳/鼻や喉の刺激症状/心拍数低下/体温低下/失禁/黄疸

お香選びに気をつける

犬や猫がいる環境では、煙の量が少ないとされる「微煙タイプ」「無煙タイプ」や香料成分が控えめな製品を優先的に選ぶのがおすすめです。また、天然由来の香料を使用しているお香でも、ペットに有害となる場合があるので、必ず事前にチェックするようにしましょう。

お香の種類によってペットの反応も変わってくるので、一度に大量購入はせずに少量で試して様子をうかがうことも大切です。お香を続けるかどうかはペットの健康状態とストレスの状況を見極めながら判断し、もし微妙な反応が続くようであれば、お香の利用は控えましょう。

犬や猫がいるときにおすすめのお香

お香

低煙タイプや無香タイプを活用する

犬や猫がいる環境でも使いやすいお香として、まず検討したいのは低煙タイプ無香タイプです。これらは一般的なお香に比べて煙の量が少ないため、ペットへの刺激をできるだけ抑えられる利点があります。においが強く残りにくいので、部屋の消臭や軽い芳香を目的としたい場合に向いています。

ただし、無香タイプでも煙は多少発生するため、完全にペットへの負担がゼロになるわけではありません。必ず換気をしながら、ペットの様子を見つつ使うようにしてください。また、低煙タイプの中には天然の成分を使っている製品もあるため、化学香料が気になる飼い主にはそのような商品が安心です。

製品を選ぶ際は、パッケージの説明や公式サイトにある成分表示をしっかり確認しましょう。「ペットOK」「低煙」「無香」と書かれていても、実際には若干の香料が含まれていることもあります。大切なのはペットの個体差に合わせることです。飼い主が良いと思ったものでも、ペットが嫌がることもあるため、小さいサイズから試してみるのがおすすめです。

もし近くに実店舗があれば、スタッフに相談して煙の量や香りの強さなどを聞いてみると、より自分の家庭に合ったお香を選びやすくなるでしょう。

刺激の少ない香りを選ぶ

香り選びで重視したいのは、刺激の少ない成分かどうかです。ラベンダーやカモミールなどのハーブ系は、穏やかな香りで知られており、人間にとってはリラックス効果が期待できます。ペットも比較的受け入れやすい場合が多いとされますが、どんな香りでも嫌がる子もいるため、まずは少量で試すのが基本です。

また、天然由来だからといって必ずしも安全というわけではなく、植物によっては犬や猫に対して毒性をもつものも存在します。猫においては、ティーツリーやペパーミントが合わないケースが有名ですが、原料の特徴をよく理解して選ぶ必要があります。

香りの好みは飼い主ごとに異なりますし、ペットの反応もさまざまです。時間と手間はかかりますが、大切なペットの健康を最優先に考えるなら、焦らず慎重に選ぶ姿勢が大切です。

ペット専用お香を活用する

最近では、ペット専用のお香なども販売されており、通常より低刺激の成分を用い、犬や猫の呼吸器に負担をかけにくいよう工夫されている場合が多いです。

ただし、「ペット専用」「獣医師推奨」と記載があっても、具体的な成分とペットの体調を見極めた上で判断することが重要になります。

ペット専用のお香は、うまく活用すればペットへの負担を最小限にしたお香生活を実現できる可能性があります。最終的にはペットの様子を第一に考えることが大切なので、こまめにチェックをしながら使用するようにしましょう。

犬や猫がいるときのお香に関するQ&A

お香の煙は犬や猫に悪影響がありますか?

お香の煙は犬や猫に悪影響を及ぼす場合があります。犬や猫の呼吸器は人間に比べて敏感で、特に猫は体内での代謝機能が独特です。煙や香料成分を過剰に取り込むと、くしゃみや咳、目の充血などを起こす可能性があります。

犬や猫がいる環境でお香を焚くにはどうすればいい?

犬や猫がいる環境でお香を焚くときは普段以上に換気に気を遣うことが大切です。密閉された部屋で焚くと、どうしても煙が充満しやすくなり、ペットが吸い込むリスクが高まります。また、犬や猫が自由に避難できる場所を確保することで、より安全性を高めることができます。ただし、犬や猫の様子がいつもと違うようならお香を消し、速やかに換気を行ってください。

猫に有害となる香りにはどんなものがありますか?

ティーツリー/ユーカリ/シトラス/ペニーロイヤル/シナモン/クローブ/ペパーミント/ウィンターグリーン/ラベンダー/イランイラン/ローズマリー/タイム/ゼラニウム/ローズ/サンダルウッドなどがあります。猫は体内での代謝機能が独特なため、香りによる中毒症状を引き起こしやすいといわれています。

犬や猫の香りによる中毒症状にはどんなものがありますか?

ふらつき/体の震え/沈うつ/よだれ過多/嘔吐/下痢/食欲不振/呼吸困難/咳/鼻や喉の刺激症状/心拍数低下/体温低下/失禁/黄疸などがあります。

犬や猫に配慮してお香を使おう

お香

犬や猫がいる家庭でもお香を絶対に使えないわけではありません。しかし、ペットの敏感な嗅覚や呼吸器、個体差を踏まえると細心の注意を払う必要があります。特に、長時間や頻繁にお香を焚く、換気が不十分な状態で使うなどの状況は、ペットにとって大きな負担をもたらす可能性があります。

安全にお香を楽しむには、換気や焚く時間の調整、ペットが自由に逃げられる環境作りなど、いくつかのポイントを押さえることが大事です。また、ペットが呼吸器系の疾患を持っている場合や初めてお香を焚いたときにストレスサインを示すようであれば、獣医師への相談やお香以外の消臭・芳香アイテムへの切り替えを検討しましょう。ぜひ今回の内容を参考に、愛犬や愛猫との暮らしをより豊かにしてください。

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